ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから1年が経過したことを受け、世界福音同盟(WEA)、欧州福音同盟(EEA)、ウクライナ福音主義プロテスタント教会協議会(CEPCU)の福音派3団体は27日、共同声明(英語)を発表した。
声明は、「戦争を終わらせる最も速い方法」だとして、全てのロシア軍の即時撤退を要求。ウクライナ国内のロシア系住民を保護し、ロシアに対する脅威を取り除くために今回の攻撃が必要だったとするロシア側の主張は「明らかな虚偽」だと批判した。
その上で、「私たちは、世界の指導者たちが侵略に報いることなく、恒久的な平和を築く解決策を見いだす知恵を持つことができるよう祈ります」と述べ、「このようないわれのない攻撃は二度と起こしてはいけません」と訴えた。
また、この1年間に、何百万人ものウクライナ人が家を失い、愛する人を失い、さまざまな形で戦争の影響を受けていると指摘。「どうにもならない状況の中で、悲しみ、苦闘している皆さん、私たちは皆さんと連帯します。公正な平和が早く訪れるように、皆さんが癒やされ、立ち直れるように、そして痛みの中でも神の存在をはっきりと体験できるように、私たちは祈っています」と伝え、詩編34章18節「主は助けを求める人の叫びを聞き、苦難から常に彼らを助け出される」を引用した。
そして、戦争の被害を受けたウクライナ人のために、支援活動の拠点として教会を開放する人々、人道支援や医療援助を行う人々、トラウマの治療やカウンセリングを行う人々の姿などに言及。「彼らの姿は、私たち一人一人が、社会的、地理的な場所に関係なく、イエスに従うことを励まし、促しています」と伝えた。
その上で、全てのクリスチャンに対し、「キリストの手足となって、ウクライナからトルコ、シリア、さらにその先まで、全ての者を癒やし、回復し、新しくするこの働きに参加するよう呼びかけます」と述べた。
ロシアのクリスチャンに対しては、「他者に危害を加える共同体の一員であるとき、イエスに従うとはどのようなことかと苦悩していることを知っています」と理解を示す一方、「イエスは私たちに、たとえそれが自分たちの集団や指導者と対立することを意味するとしても、弱者と共に立つよう挑戦を投げかけています」と訴えた。
また、「教会の歴史を通じて、勇気あるクリスチャンはまさにそうしてきましたが、多くの人々は、自分たちの国や民族による他者に対する敵対的行為を見落としたり、支持したりしてきました」と指摘。「グローバル化され、相互につながった今日の世界において、私たちは国を問わず、全てのクリスチャンに、自分たちのグループがどのようにして被害を永続させているかを振り返り、政府、社会グループ、さらには教会共同体の行為や怠慢に対する責任を認めることによって、意図的に神に立ち返るよう呼びかけます」と伝えた。
WEAは、世界に6億人以上いるとされる福音派のクリスチャンを代表する世界機関。143カ国にある各国の福音同盟や、さまざまな福音派の団体が加盟している。WEAの加盟組織の一つであるEEAは、2300万人に上るとされる欧州在住の福音派のクリスチャンを代表する地域機関。CEPCUは、ウクライナの12教団が加盟し、同国内の1万余りの教会の声を代弁する超教派の連絡機関として活動している。