聖公会の保守派グループ「世界聖公会未来会議」(GAFCON)の首座主教協議会議長であるフォーリー・ビーチ大主教(北米聖公会首座主教)は9日、声明(英語)を発表し、英国国教会のカンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビーを批判して、世界各国の聖公会から成る「アングリカン・コミュニオン」(全世界聖公会)の霊的最高指導者としての立場から退くよう求めた。
英国国教会はこの日、ロンドンで開いた総会で、「一人の男性と一人の女性の間で生涯続くもの」とする結婚に関する教義は維持しつつも、同性カップルの「祝福」を認める決定をした。ビーチ大主教の声明は、この決定を受けたもの。
同性カップルの「祝福」を認めることには、ウェルビー大主教も総会で支持を表明。8日の演説(英語)では、「(世俗の)文化に支配されているからではなく、聖書と伝統、そして過去6年の間に、非常に多くの人々により、非常に巧みに行われた膨大な取り組みの中で証拠付けられた根拠のために」支持するのだと語っていた。
しかし、ビーチ大主教は声明で、ウェルビー大主教が「アングリカン・コミュニオンの最後に残った弱い布地をずたずたにしている」と述べ、同性カップルの「祝福」を支持することによって、アングリカン・コミュニオンの霊的最高指導者としての責任を放棄したと批判した。
また、同性カップルの「祝福」を認めることは、「聖書の権威のまさに核心を攻撃するもの」であるとし、英国国教会は今や「罪を祝福することを認め、罪はもはや罪ではないと宣言したのだ」と批判した。
その上で、「今こそ、英国の首座主教(ウェルビー大主教)は、アングリカン・コミュニオンを導く『同等の者たちの中の第一の者(first among equals)』としての立場から身を退くべき時です」と要求。「単なる一国の世俗的政府(英国)がわれわれのリーダーを任命するのではなく、今こそ、アングリカン・コミュニオンの首座主教たちが、自分たちのために『同等の者たちの中の第一の者』を選ぶべき時です。私たちはもはや英国の植民地ではないのです」と呼びかけた。
GAFCONは2008年、同性愛者の主教按手(あんしゅ)や同性婚に反対する世界各国の聖公会の保守派がエルサレムで集まり、「エルサレム宣言」を発表して結成された。
ビーチ大主教の声明によると、GAFCONに加わっている首座主教らに連なる聖公会の信者は世界で6千万人に上る。世界の聖公会全体の信者は8千万人とされており、その半数以上に上る。4月には第5回となる会議がルワンダの首都キガリで開催される予定で、1100人を超える参加者を見込んでいるという。