日本カトリック司教協議会は、世界的な経済危機により日本でも従業員削減や、派遣労働者、契約労働者の解雇が広がる経済的状況を受けて、日本のカトリック教会に、祈りや献金、実際の活動などを呼びかける「2009いのちを守るための緊急アピール」を発表した。
同協議会はアピールで、97年度に多くの企業が経営破綻し、その年度末の98年3月以降、自殺者が急増したことを言及。現状が「今回の危機はそのとき以上ではないか」と危機感を示した。最悪の結果として、路上死や自殺に至らないように、教区、小教区、修道会、信徒の団体など各レベルで、取り組みができるようしたいと、今回の発表の目的を明らかにした。
アピールでは、依然として失業者や路上生活者に対する差別や偏見が根強くあることも指摘。昨年12月の世界人権宣言発布60周年記念で同司教団が発表した人権メッセージに触れ、「貧しく弱い立場に追いやられ、大切な人間関係を断たれてしまっている人々、人間らしい生活が損なわれ、あるいは妨げられている人々の側に立って、この世界を見ていかなければなりません」と訴えた。
一方、政府や行政機関に対しては、「貧しい人々の最低限の生活を守る責任」があると対応を求めた。
今回のアピールは日本のカトリック信徒を対象に出されたもので、今回の事態が「カトリック信者だけで解決できる事柄」ではないとし、他の市民団体などとの協力も呼び掛けた。
今後は、カトリック系の支援団体「カリタスジャパン」による募金活動を行い、アピールに賛同するような支援活動の援助を行うという。
アピールは同協議会社会司教委員会の?見三明委員長(長崎教区大司教)、松浦悟郎副委員長(大阪教区補佐司教=日本カトリック正義と平和協議会担当司教)、カリタスジャパン責任司教の菊地功・新潟教区司教らの連名で出された。