エルサレム旧市街のルーテル派教会で、イスラエル・パレスチナ地域では初となるパレスチナ人女性牧師が誕生した。
按手(あんしゅ)を受け牧師となったのは、サリー・アザールさん(26)。エルサレム旧市街にある「贖(あがな)い主ルーテル教会」で22日、按手式が行われた。同教会の所属教団「ヨルダン聖地福音ルーテル教会」(ELCJHL)によると、アザールさんは今後、贖い主ルーテル教会の英語話者の会衆を導くことになる。
アザールさんはこれに先立ち、ルーテル世界連盟(LWF)のインタビュー(英語)に応え、「按手式は名誉なことです。私の教会で女性として按手を受けることは、さらに名誉なことです」とコメント。「自分の教会の歴史の一部となり、男女平等に貢献できることをうれしく思います。期待もありますが、不安もあります。これが簡単な道だとは思っていません」と語っていた。
アザールさんは、ELCJHLのトップであるサニ・イブラヒム・アザール監督(61)の娘で、2018年にレバノンの近東神学校を卒業。その後、ドイツに留学し、ゲッティンゲン大学で異文化間神学を学んだ。
世界教会協議会(WCC)のジェリー・ピレー総幹事は祝辞(英語)で、「私たちはルーテル教会、特に中東と聖地の人々と共に、あなたに霊的・教会的リーダーシップを授けるこの重要な教職授任式を喜んでいます」と歓迎。「私たちにとって、あなたは娘であり、姉妹です。また、メンターであり、私たちの教会のいのちと使命に貢献するリーダーです」と述べた。
WCCによると、アザールさんはLWFのアジア地域評議員や、エキュメニカル国際支援組織「ACTアライアンス」の理事などを務めている。
中東の衛星放送局「アルジャジーラ」(英語)がパレスチナ中央統計局の情報として伝えたところによると、パレスチナ(ヨルダン川西岸地区・ガザ地区)には2017年時点で、約4万7千人のキリスト教徒が居住している。しかし、その多くは女性を教職者として認めない教派に属しているという。
今回、アザールさんに按手を授けたELCJHLは、イスラエル、パレスチナ(ヨルダン川西岸地区)、ヨルダンに約3千人の信者がいる。
中東教会協議会によると、アザールさんが牧師となったことで、中東で奉仕する女性牧師は、シリアの1人、レバノンの3人を含め計5人となった。