政府が昨年末に原案を公表したGX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針について、日本バプテスト連盟公害問題特別委員会は、原発回帰への政策転換は「亡国に至る道」に他ならないと強く反対する声明(15日付)を発表。全ての原発の即時廃止と、核燃料サイクル政策からの速やかな撤退を求めた。
声明は、政府がこれまでの抑制的な原発政策を転換する理由として、ウクライナ危機に伴う燃料高騰や電力不足、脱炭素への対応を挙げているものの、「極めて場当たり的、時代錯誤甚だしい誤った政策」だと強く批判。再生可能エネルギーの発電能力は増してきているとし、「日本に『資源がない』というのならば、再生可能エネルギーにこそ『開発費』を投じ、また『投資』すべき」「『原子力ムラ』の利潤追求のための『国策』は誤り」と断じた。
高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉や、六カ所再処理工場の度重なる完成延期に触れ、日本の原子力政策について「破綻していることは誰の目にも明らか」だと主張。核燃料サイクルで核兵器に転用できるプルトニウムが生み出されることについても、「どれほど東アジアと国際社会において、脅威となり、結局のところ、諸国からの信頼を失い、平和構築から遠ざかる、極めて愚かな道であるかを知るべき」とした。
その上で、原発政策の転換は、福島第1原発事故によって今も苦悩の日々を送る被災者たちの命を踏みにじり、裏切る行為に他ならないと強調。足尾鉱毒事件を告発した代議士の田中正造が、企業の利潤と国益を第一に追い求め、最も大切にすべき民と大地のことを顧みない政府の行為を「亡国に至る」と糾弾したことに言及し、「今、政府が推進しようとしている『原発推進方針』は、まさに『亡国に至る道』に他なりません」と訴えた。