広島、長崎の両被爆地の宗教者による第24回長崎・広島宗教者平和会議が12日、広島市中区の広島カトリック会館で開かれた。広島からは同県宗教連盟の三末篤実理事長ら18人、長崎からは同県宗教者懇話会の野下千年会長ら13人が出席した。中国新聞が伝えた。
会議では、劣化ウラン弾(DU)の廃絶を訴える広島の市民団体「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」の森滝春子事務局長が基調講演し、イラクなどでの劣化ウラン弾の被害について報告した。
同団体は03年6月の発足直後、イラクの戦争被害と劣化ウラン弾被害についての予備的調査団を現地に派遣。バグダッド郊外の市街地に放置されていたイラク軍戦車に付着するチリから劣化ウランを検出した。これにより、市街地でも劣化ウラン弾が使用されていたことが明らかになった。
また、現地の白血病の子どもやその父母など18人から採取した尿のサンプルからは、一リットル当たり平均で72・6ナノグラムという高数値のウランを検出。爆撃地から100メートル以内に住んでいた子どもの白血病患者からは、もっとも高い数値が検出されたという。
米国でも帰還兵の子どもが先天性異常を持って生まれるなどの深刻な被害がすでに報告されている。イラク戦争終結後に現地へ派遣された帰還兵からでさえ劣化ウランが検出されていることだけを見ても、劣化ウラン弾による現地での被害が相当深刻なものであることがわかる。
同団体からの報告を受けて出席者たちは、劣化ウラン弾の廃絶に向けての具体策を検討していくことで一致した。