欧米5カ国を歴訪中の岸田文雄首相は10日、2カ国目の訪問国であるイタリアで、昨年12月31日に95歳で死去した前ローマ教皇の名誉教皇ベネディクト16世に対し、弔意を表し、供花を行った。バチカン・ニュース(日本語版)が13日、伝えた。
岸田氏は、名誉教皇が死去した当日にも、教皇フランシスコと、バチカン(教皇庁)国務長官(外相)のピエトロ・パロリン枢機卿に宛て、弔意書簡を発出している。
外務省の発表によると、書簡では哀悼の意を表するとともに、名誉教皇が2005年から13年までの在位中、世界約14億人のカトリック信者を背景に、独自の外交力をもって世界の平和に大きく貢献してきたことに言及。11年の東日本大震災の際には、名誉教皇から寄せられた見舞いの言葉によって日本全体が励まされたと述べ、名誉教皇のこれまでの功績に敬意を表した。
林芳正外相も、バチカン国務省外務局局長のポール・リチャード・ギャラガー大司教に宛て弔意書簡を発出。名誉教皇が世界的な経済危機の影響を受けた国々への支援や、アフリカをはじめとする開発問題など、人類共通の問題の解決に向けて大きな役割を果たしてきたとし、その貢献に敬意を表していた。
岸田氏の欧米歴訪は、今年5月19日から21日にかけて広島で開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)の環境整備を目的としたもの。昨年相互に首脳が訪問したドイツを除き、G7の他の構成国であるフランス、イタリア、英国、カナダ、米国を、9日から15日までの日程で訪問している。