FIFA2022ワールドカップにカタールが沸いている。1930年の初開催以来、今大会は初めての中東開催となる。カタールの夏季日中気温は40度を超えるため、これもまた史上初めてとなるが、今大会は冬季の開催となった。
カタールは厳格なイスラムの国だが、近年、外国人向けの教会登録が正式に許可され、首都ドーハにあるメサイミールという複合施設の中に外国人向けの教会がある。この施設は、カタール人口の9割にも及ぶ外国人労働者に開放されており、非イスラム教徒の訪問は許可されているが、ネイティブのカタール人は建物内はおろか、敷地内に入ることも許されていない。また、建物の外に十字架などのシンボルを掲揚することも認められていない。
カタール政府は、ワールドカップ観戦で訪れる観光客らに博物館や古代遺産、ショッピングモールの訪問を奨励する一方で、キリスト教会の存在は完全に無視している。
パンデミックにより2020年以降、複合施設以外での教会の集まりが禁じられた。これにより100以上の教会が活動停止を余儀なくされたのだ。ところが、パンデミックが緩和されつつある今、社会的な制限も緩やかになったにもかかわらず、教会の再開は許可されないままだ。
少数のカタール人の改宗者は、集会や信仰の実践についての正式な許可を持っていない。改宗は背教とみなされ、イスラムのシャリア法では死刑に処される。しかしこれは長年実行されていない。彼ら改宗者は家族や地域社会から極端な圧力を受け、ある場合は法的トラブルに発展し、身分や子どもの親権、財産が奪われることもまれではない。
宗教の自由は重要な人権であり、恥ずべきこととして覆われるものであってはならない。このワールドカップ開催期間中、いろいろな団体や教会で祈りのキャンペーンが進行している。ワールドカップを機に、観戦とともに祈りの時としよう。
またカタールは、東南アジアなどで募集された労働者が強制的に連れてこられる国の一つとして知られる。これは現代の奴隷制だ。多くの場合、少額の借金などでだまされ、身売りさせられた挙げ句、厳しい肉体労働の強制労働に就かされるのだ。
これら現代の奴隷制のような悪習が粉砕されるよう祈ろう。また、カタールで信仰の自由が保証され、多くいる外国人キリスト者に知恵が与えられ、同国の伝道と宣教が進むように祈っていただきたい。
■ カタールの宗教人口
イスラム 65・6%
キリスト教 14・2%
ヒンズー 15・4%
仏教 3・0%