日本聖書協会のクリスマス礼拝が8日、日本基督教団銀座教会(東京都中央区)で行われ、約180人が参加した。同協会が対面形式でクリスマス礼拝を行うのは、コロナ禍前の2019年以来3年ぶり。同協会副理事長の菊地功・カトリック東京大司教はメッセージで、「(戦争や飢餓などの)危機に直面している多くの命に思いをはせたい」と呼びかけ、「キリストは命を生かす希望の光」と伝えた。
「世界はあたかも、暴力に支配されているかのよう」。菊地大司教は、ミャンマーの軍事政権による政治不安、ロシアによるウクライナ侵攻など、各地でやまない暴力に苦しむ人々の存在に触れ、「尊い命はなぜこうも、力ある者たちによってもてあそばれるのでしょう」と問いかけた。
その上で、「暴力が世界を支配するかのような現実を目の当たりにし、多くの命が直面する悲劇を耳にするとき、暴力を止めるためには、暴力を使うことを肯定してしまうような気持ちへと引きずり込まれます。しかし、暴力の結末は死であり、神の否定です」と指摘。「暴力を肯定することは、命の創造主である神への挑戦です」と強調した。
菊地大司教は、「今世界に必要なのは、互いの違いを受け入れ、支え合い、励まし合い、連帯して共に歩むこと」と語り、「神の愛を身に受けている私たちは、他者のために、自らの利益を後回しにしてでさえ、受けた神の愛を多くの人たちと分かち合う生き方が必要」と訴えた。
さらに、「命の尊厳をないがしろにする人間の暴力的な言葉と行いにひるむことなく立ち向かい、神が望まれる世界の実現の道を模索することは、命を賜物として与えられた私たち一人一人の使命」と指摘。「この社会の現実のただ中で、命を生かす希望の光を掲げ続ける存在でありたい」と伝えた。
続いて第33回聖書事業功労者賞の表彰式が行われ、同協会のウェブサイト管理やカタログのデザインなどを手がけてきたコアプランニング株式会社(東京都港区)が表彰された。代表の竹村俊彦氏に代わって出席した執行役員で営業企画部部長の越沼康昭氏は、「大変身に余る思い」と受賞の心境を語った。
「聖書は、神のお言葉やお考え、戒めなどが濃縮された究極のコミュニケーションツール。これをさらに多くの人々にお知らせするという事業は、日々勉強であり、企業としても大きく成長させていただけるもの」と語り、「今後とも全力を尽くしてお仕事をさせていただきたい」と話した。
同協会の具志堅聖(きよし)総主事は閉会のあいさつで、「3年ぶりにこのような形で皆様と一緒にクリスマスの時を過ごすことができ、非常に感動しております。2022年も厳しい一年となりましたが、希望の光としてお生まれになった私どもの主イエス・キリストの喜び、輝き、祝いの心を分かち合うことができますように、クリスマスのシーズンが恵み豊かなときとなりますように祈りをささげたい」と述べた。