米北東部ペンシルベニア州ピッツバーグの教会爆破計画に関わり、過激派組織「イスラム国」(IS)に物的支援をしたとして、同州在住のシリア人難民、ムスタファ・ムサブ・アロウェマー被告(24)に禁錮17年4月が言い渡された。
アロウェマー被告は9月、同州西部地裁で起訴内容を認めていた。米司法省の声明(英語)によると、同被告は連邦刑務所で服役することになり、服役後も生涯監視下に置かれる。
司法省国家安全保障局のマシュー・オルセン司法次官補は、「アロウェマー被告は、ISの名の下にピッツバーグの教会に対し致命的な爆破を計画したことを認めました」と述べた。
同州西部地区担当のシンディー・チャング連邦検事は、「ISの名の下にピッツバーグの教会を爆破し、周辺住民を死傷させる危険を冒した被告の計画は、ピッツバーグ合同テロ対策チームによって阻止されました」と述べた。
法廷文書によると、アロウェマー被告は「ISの大義を支持し、米国内の他のIS支持者にISの名の下に協力して同様の行為を行うよう促すため」爆発物を用いて、同州北部の教会を爆破する計画を立てた。
アロウェマー被告は、「ナイジェリアの兄弟(ISのメンバーら)の復讐(ふくしゅう)」をしようとしていたとされ、標的にした教会はナイジェリア系の教会だった。また、爆発によって教会付近の人々が多数死亡する恐れがあることを認識していた。
アロウェマー被告は2019年5月、IS支持者になりすました連邦捜査局(FBI)の職員に、爆発物や即製爆発装置の作り方や使用法のマニュアルを複数配布。同年6月ごろには、装置の組み立てに必要だと考え、釘やマニキュアリムーバーなど複数の物品を購入していた。「教会周辺で起爆する爆発物の組み立てに使用するつもりだった」という。
AP通信(英語)によると、アロウェマー被告はクラスメートや米兵を含む、他の潜在的な標的も特定していたとスー・ソン連邦検事補は述べた。同被告は法廷で、教会の牧師や信徒、近隣の住民に謝罪した。
「自分の犯した罪の重さを理解しています。私はもう、以前のように考えたり行動したりはしていません。もうISを支持していません」
米国務省は、信教の自由に対する侵害が特に懸念される国家や組織のリスト(英語)で、ISを「特に懸念のある組織」(EPC)に指定している。
米国ではこの他、8月にはISに物的支援をし、ニューメキシコ州に「イスラム国センター」を設立しようとしたとして、同州アルバカーキ在住の男性(45)が起訴されている。
また7月には、バージニア州東部地裁が、サウジアラビア出身のカナダ国籍の男性(39)に対し、ISに協力し、プロパガンダ動画のナレーションを担当したとして、終身刑を言い渡している。動画には、キリスト教徒とイスラム教徒の対話を試みていた米国人ジャーナリスト、ジェームズ・フォーリー氏が斬首される場面などが含まれていた。