【CJC=東京】スイス・フリブール大学の社会人類学者クリスティアン・ジョルダーノ教授が、イスラム教の法「シャリア」の要素をいくつかスイスに導入すべきだと提唱した。現在のスイスの法制度は少数派に対して「偏狭過ぎる」と主張し、多元的法体制の導入を提案している。
チューリヒの日曜紙『ノイエチュリヒャー・ツアイトゥング・アム・ゾンターク』はジョルダーノ氏の提案を「無邪気なもので、これで何が解決されるのかよく分からない」と批判、「スイスにはシャリア法が入り込む余地はない。スイスに住む一部の人々に特権を許すようなことはなされるべきではない」と指摘している。
ジョルダーノ氏は「わたしが要求しているのはイスラム教徒のための特別な権利というより、多元的法体制だ」と言う。
論争の発端は、スイス連邦人種差別対策委員会 が年2回発行している雑誌『タングラム』の12月号に寄稿したジョルダーノ氏の論文だった。
スイスインフォの日本語版サイトによると、ジョルダーノ氏は「民族的、文化的なさまざまな社会の中で多元的法体制はほとんど現実となっているが、その多くは無視されたり、社会の団結を脅かすものとして認識されているために否定されたりしている」として、多元的法体制はむしろ、文化的な特異性を考慮する法のメカニズムのどこかに導入されるべきものだと提案する。「多文化主義とは文化が多様であるだけではない。それは政治的に管理された文化の多様性なのだ」と言う。