日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)は、7月からバングラデシュで知的障がいのある子どもを支援する新規プロジェクト「JOYJOYプロジェクト」を始めた。支援の対象は、北部ディナジプール市内に住む知的障がいのある5~12歳の子どもとその家族。デイケアサービスを開設して受け入れたり、自宅訪問をしたりすることで、知的障がいのある子どもがいる家庭を支援していく。
プロジェクトは、現地で活動するミラノ外国宣教会が5カ年計画で行うもの。JOCSはその要請に応じる形で、今後3年にわたり協力する。派遣するのは、バングラデシュで30年近く障がいのある人々と関わってきた看護師の岩本直美さん。岩村さんは、対象者の割り出しやプロジェクト参加の働きかけ、デイケアサービスの実施に伴う現地スタッフの雇用や施設・備品の整備、プログラムの考案など、多岐にわたる任務を行う。
障がいのある子どもがいる家庭は総じて経済的に貧しく、障がいのある子どもは多くの場合、十分な教育の機会を得ることができない。また保護者には、障がいのある子どものための支援情報が十分に届いていないという。プロジェクトでは、こうした家庭に対する直接的な支援のほか、障がいのある人に対する偏見や社会的排除を軽減することも目指していく。
岩本さんは1993年にJOCSからバングラデシュに派遣された。2008~21年には、障がいのある人とない人計約40人が共同生活する「ラルシュ・マイメンシン」でリーダーも務めた。新型コロナウイルス感染症が感染拡大している間も現地に残り、コミュニティーの人々の感染防止に努め、現地の若手育成などを手がけてきた。
JOCSは、戦後日本の最初期に活動を始めた民間国際協力団体の一つ。1960年の設立以来、全ての人の健康と命が守られる世界を目指して、日本人保健医療従事者の海外派遣や現地保健医療従事者の育成、現地NGOと協力したプロジェクトの実施などを行ってきた。現在は、バングラデシュとタンザニアに日本人保健医療従事者を派遣し、8カ国で約60人の現地保健医療従事者を奨学金制度によって育成している。2019年にアフガニスタンで殺害された中村哲さんも、JOCSの派遣医師として1984~90年にパキスタンでハンセン病治療に当たった。