LGBTQ(性的少数者)に対する社会的関心が高まる中、聖書に反する価値観や信念が急速に広まっているとして、「性の聖書的理解ネットワーク」(Network for Biblical Understanding of Sexuality=NBUS)が設立された。設立に併せて公開されたウェブサイトには、米国の福音派指導者たちが性に関する聖書の教えをまとめ、2017年に発表した「ナッシュビル宣言」(英語)の日本語訳を掲載。宣言に対する賛同の署名を呼びかけている。
NBUSの設立呼びかけ人は、ファミリー・フォーラム・ジャパン教育主事のテモテ・コール氏、代表理事の大村信蔵氏、ハーベスト・タイム・ミニストリーズ代表の中川健一氏、真理のみことば伝道協会代表のウィリアム・ウッド氏、ジャパンベサニーミッション(JBM)代表役員のジャン・ドウゲン氏、ジャパン・クリエイティブ・ミニストリー(JCM)代表の藤田桂子氏、クリスチャンコモンズ代表理事の佐野剛史氏、北海道聖書学院教師会。
設立に関する発表では、昨年5月の日本福音主義神学会東部部会で行われたLGBTQに関する講演内容やその影響などに言及しつつ、クリスチャンの間でも「この世の価値観を優先させることにより、ジェンダーとセクシュアリティーに関する聖書の教えに対する混乱や妥協、神の真理からの逸脱が見られるようです」と指摘。こうした風潮に危機感を覚え、NBUSを緊急に設立したとしている。
ナッシュビル宣言の日本語への翻訳は、NBUSとしての最初の取り組み。NBUSは宣言について、「LGBTQ・同性愛は罪であるということに同意しつつも、神様はこれらの人たちを決して見捨てず、大切な存在として愛しておられることを宣言」するものだと説明している。
宣言は全14条で構成され、各条が大きな一つのテーマについて、同意する内容と否定する内容を明言している。結婚については「一人の男と⼀⼈の⼥が夫と妻として⼀つになるもの」だとし、同性や⼀夫多妻、多夫多妻といった結婚関係を否定(第1条)。男⼥間の違いについては、「神の創造時の計画を反映しており、人間の益と⼈間の繁栄のために意図されたもの」(第4条)だとしている。
性腺(卵巣・精巣)や内性器、外性器が非典型的な型となる性分化疾患については、疾患者も神のかたちに造られた存在であり、「他のすべての⼈と等しい尊厳と価値を持っている」と明言(第6条)。同性に性的魅⼒を感じる人々についても、「すべてのクリスチャンと同様に、純潔を守って⽇々を歩む中で、イエス・キリストにある信仰によって、神に喜ばれる豊かで実りある人生を送ることができる」としている。しかしその一方で、「同性に性的魅⼒を感じることが、神の創造当初からあった自然の一部で良いものであるという考え」は否定(第8条)。「同性愛の不道徳やトランスジェンダーを認めることは罪であり、そのようなことを認めることは、キリスト教の信仰と証しから本質的に離れる」としている(第10条)。
NBUSのウェブサイトで公開された宣言の日本語訳に対する賛同署名者は、公開から1週間たった21日現在で約260人。宣言の英語原文にはこれまでに、2万4千人を超える人々が署名している。
NBUSは今後、宣言に対する賛同の署名を呼びかけていくほか、啓発活動の一環として、ジェンダーとセクシュアリティーに関する書籍の発行や講演活動も行っていくという。