英国国教会の主席聖職者であるカンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビーは7日、自らの公邸であるランベス宮殿で、非モスクワ総主教庁系のウクライナ正教会(OCU)の首座主教であるエピファニー府主教と会談した。翌8日には英国国教会の総会で、ウクライナが「情け容赦ない恐怖と攻撃」にさらされているとして、その状況を嘆き、平和構築を呼びかける演説を行った。
ウェルビー大主教はエピファニー府主教との会談で、「(ロシア軍の)占領地における民間人に対する残虐行為やウクライナ正教会の聖職者に対する最大限に悲痛な話」を聞いたとしたが、それでもエピファニー府主教は「すべての人への愛、特に敵への愛」を語ったと述べた。
「もちろん、すべてのウクライナ人と同じように、エピファニー府主教は自国を襲った恐怖と惨劇を強く感じておられました。うそをつかれ、情け容赦ない恐怖と攻撃を受けられたのです」
「しかし、その熱意は憎しみの中に表れてはいませんでした。また、弱さの中にも表れていませんでした。そうではなく、信仰と決意、そして教会の人道的活動とウクライナへの支援の嘆願の中に表れているのです」
「私たちは一つの教会として、できる限りの支援をしようではありませんか。また平和を求める決意を固めようではありませんか」
その上でウェルビー大主教は英政府に対し、外務省による調停と平和構築の働きに対し資金援助を再び行うよう求めた。また、教会が平和構築に携わる必要性について、それは「神の性質」を反映したものであると強調した。
その一方で、この数カ月間にわたり、ロシア正教会との対話を試みてはいるが、これまでのところ失敗に終わっていることも付け加えた。
「ロシア正教会のキリル総主教および(当時、ロシア正教会の渉外局長であった)イラリオン府主教と行った2月のオンライン対話に加え、ロシア正教会とのさらなる対話の機会を求めていますが、現在までそれは不可能なままです」