米南部ルイジアナ州ニューオーリンズのレストランで、ある「奇跡」が起こった。レストランで働くウェイトレスの女性が、自身が通う教会のエアコンの修理費用のために祈ったところ、そのすぐ後に客から約10万円ものチップを受け取ったのだ。女性はチップを全額、教会に献金したという。
「これは私のお金ではありません」。ニューオーリンズ市内を走る大通り、セントチャールズ通りにあるホーシュンレストランで働くアバ・グアンさん(45)は、地元テレビ(英語)の取材にそう語った。「(チップをくれた)あの紳士は私にとって天使です」と言う。
ニューオリンズ地域に約30年住んでいるグアンさんは、ニューオーリンズ郊外のメテリーにあるオリーブC教会に通っている。グアンさんは4日、ホーシュンレストランの夜勤に行く前に、教会で会堂とエアコンの修理に必要な費用を求めて祈る時間を持ち、自身も300ドル(約4万円)を献金した。
グアンさんは、気前よくチップをくれた客に、食事を楽しむよう言ったことは覚えているが、何か特別なことをしたわけではなかった。しかしその客は精算時、63・4ドル(約8千円)の請求に対して、チップとして777ドル(約10万円)もの大金を伝票に書き込んだのだった。伝票の裏には「今夜は休んで」という気遣いのメッセージも書かれていた。
「彼は私にこんなに多額のチップをくれました。なぜかは分かりません。本当におかしなことです。驚きでした」
それでもグエンさんは、神が「プレゼントをくれたのです」と言い、謙虚に神からの祝福として受け取ったという。また「誰もが天使を必要としています」と言い、今回の出来事は「神が(祈りを)聞かれ、助けてくれる」ことの証拠だとも語った。
地元ネットメディア「NOLA」(英語)によると、チップの支払い主は、レストランチェーン「アイホップ」とファーストフードチェーン「ポパイズ」それぞれの店舗をフランチャイズオーナーとして経営するアブドゥル・ハミデさん(31)だった。その日は、同州ティボドーにアイホップの新店舗をオープンさせた日で、ハミデさんは新店舗のオープンを感謝して、自身のラッキーナンバーである777にちなんだチップを支払うことにしたのだという。「自分に良いことがあったので、その恩返しをしたかったのです」
ハミデさんは、父親が1950年代後半にアイホップと契約を結んだ初期のフランチャイズオーナーで、親子合わせて60年以上にわたり店舗を経営している。現在は、5つの州にアイホップの店舗を持ち、さらにポパイズの店舗も展開している状況だ。
自身が経営するレストランではなく、ホーシュンレストランに行ったのは、自宅からそれほど遠くなく、いろいろなレストランのメニューを試すのが好きだからだという。ホーシュンレストランでは、多過ぎではないかとグアンさんが若干心配するほど注文したが、食べ切れないものは持って帰ると言って注文したという。
ハミデさんは、グアンさんがチップを全額教会に献金したことを知り、教会のエアコンがしっかりと修理されるまで助けることを約束した。
オリーブC教会のアレックス・ヤンさんも、ハミデさんの親切な行為に感謝するとともに、この寛大なチップは神の働き掛けによるものだと語った。
「これは、神が起こした奇跡としか言いようがありません」。ヤンさんはNOLAの取材にそう言い、「私たちは、神がこの紳士を遣わされ、キリストがここにおられ、支配されていることを彼女に伝えたのだと考えています」と話した。