あなたがたは、世にあっては艱難があります。しかし、勇敢でありなさい。わたしはすで世に勝ったのです。(ヨハネ16:33)
確かに、私たちの人生の日々にはさまざまな戦いがあり、問題があります。じわじわとやってくる問題もあり、突然やってくる嵐のような出来事もあります。自分の内側から生じることもあれば、外側からやってくることもあります。人生において、問題は避けることのできない現実ですね。それでは問題から逃げだすことによって、勝利があるでしょうか? いいえ、逃げだすことによっては、真の解決はありません。
こんな話があります。
アメリカに一人の農夫がいました。営々として築き上げてきた農場は、あと少しで返済も全部終わります。そして、母屋をはじめ、7つの建物が農場に彩りを添えていました。
ある美しい夕暮れのことです。西の空に小さな塊が見えました。彼は大声で、「竜巻だ、竜巻が来るぞ、逃げろ!」と叫びました。家族の者は取るものも取りあえず、車に飛び乗ると、一目散に逃げました。やっと後ろを振り向いた時、ちょうど自分たちの農場の上を、大竜巻が通り過ぎるところでした。
やがて彼らは、自分たちの農場があったあたりに戻ってきました。降り始めた雨が、みんなの気持ちをさらにめいらせています。男は「何もかもおしまいになってしまった。この年までがんばってきたのに、もう終わりだ」とつぶやきながら、そのあたりの地面を棒でつっついていました。その時、カツンと硬いものが、棒の先に触れました。かがみこんで拾い上げてみると、いつも台所の壁にかけてあった石膏の壁掛けです。さっきのひどい竜巻で半分は壊れていましたが、文字ははっきりと読み取ることができました。「期待しつづけよ」。そして彼はその言葉を、天からメッセージと受け取ったのです。
他の農夫たちが土地を手放し、去っていっても、彼は動きませんでした。留まったのです。そしてすべてが失われ、借金だけが残っ農場の再建に着手しました。男はその時、すでに60歳を超えていました。そして5年後、周りが不作続きであるにもかかわらず、彼の農場は大豊作になりました。収穫物を売ったお金で、彼は借金のすべてを返しただけでなく、いくばくかの財産を子どもや孫に残そうこともできたのです。
聖書は語っています。
あなたがたの会った試練はみな人の知らないようなものではありません。神は真実な方ですから、あなたがたを耐えることのできないような試練にあわせるようなことはなさいません。むしろ、耐えることのできるようにと、試練とともに、脱出の道も備えてくださいます。(1コリント10:13)
今日、あなたが直面している試練や問題は何でしょうか? 人それぞれ異なりますね。しかし、それが何であれ、あなたは押しつぶされる代わりに勝利者となることができるのです。十字架の上に生命を捨て、3日目に復活したイエス・キリストを信じる時、そこに勝利が与えられます。
私は、私を強くしてくださる方(キリスト)によって、どんなことでもできるのです。(ピリピ4:13)
という力強い歩みが、イエス・キリストとともに始まります。心の扉を開いて、イエス・キリストをあなたの問題の救い主、助け主としてお迎えください。
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榮義之(さかえ・よしゆき)
1941年鹿児島県西之表市(種子島)生まれ。生駒聖書学院院長。現在、35年以上続いている朝日放送のラジオ番組「希望の声」(1008khz、毎週水曜日朝4:35放送)、8つの教会の主任牧師、アフリカ・ケニアでの孤児支援など幅広い宣教活動を展開している。
このコラムで紹介する著書『希望の声』(マルコーシュ・パブリケーション)は、同師がラジオ番組「希望の声」で伝えたメッセージをまとめた珠玉のメッセージ集。放送開始25年を迎えた98年に、過去25年間伝え続けたメッセージの中から厳選した38編を紹介している。