イエス・キリストについての基礎的な知識の学びは、特にクリスチャンになったばかりの人には欠かすことができない――。そう確信するのは、東京都国分寺市の教会「ジーザス・コミュニティ」で牧仕(牧師)を務める桜井知主夫(ちずお)さん。数年前から、米ニューヨークにあるブルックリン・タバナクル教会の弟子訓練会で実際に使われていたテキストをもとに、救われて間もないクリスチャンを対象にした無料のオンライン講座を開いている。毎週土曜日夜1時間、全16回の講座で、7月から始まる第4期の参加者を募集している。
「救われて間もない方々に対して、なるべく早くキリストの基礎知識を知ってもらい、クリスチャンとしての歩みを確かなものにしてほしいと強く願うのは、私自身の体験によるところが大きいです」。20代後半で劇的な救いを体験した桜井さん。直後は救いの喜びに満ちていたが、聖書を続けて読むことはなかった。すると、数カ月もたたないうちに救いの喜びは消えていき、再び罪の生活に戻った。
次第に憂鬱(ゆううつ)な思いが心を支配し、言葉では言い尽くせないほど重たいものに押しつぶされそうになっていった。「揚げ句の果てに自殺未遂へと足を進めるのですが、まさにその崖っぷちで『私にチャンスを与えなさい』という小さな声を聞きました。神が語りかけてくださったのです」
あの時の自分には、何が足りなかったのか。たどり着いた答えは、「聖書こそが、クリスチャンの成長に欠かせないもの」という、シンプルではあるが変わらない真理だった。牧仕となり、新しく信仰を持った人が学ぶのに良いテキストはないか探していたところ、ブルックリン・タバナクル教会で救われたアマリアという女性の赤裸々な証しに目が留まった。罪にまみれた壮絶な人生を歩んできた彼女が神を求めると、一瞬にして聖(きよ)められ、救いの恵みにあずかったという。その後、毎週行われていた弟子訓練会に参加し、神の言葉である聖書によって養われることで、彼女の生き方が次第に変化していった。
「私はアマリアさんとは対照的に、聖霊を受けた後に聖書を読んでキリストの知識を吸収することがありませんでした。神の言葉が乏しければ、どのように新しく歩んだらよいかも分かりません。彼女がうらやましく思えました。一方でますます、救われたばかりの人たちや、救われてから時間がたっていてもキリストの基礎的な知識がない人のことを覚えて心が動くようになりました」
アマリアさんがどんな学びを受けていたのか知りたくなり、以前ブルックリン・タバナクル教会を訪れたときに知り合った関係者に聞いてみると、アマリアさんの学びのために自宅を開放していたカルロ・ビークスターフ副牧師の妻であるイングリッドさんを紹介してくれた。ビークスターフ副牧師はすでに召されていたが、当時をよく知るイングリッドさんが、実際にアマリアさんが使用していたテキストを送ってくれた。それが、この講座で使用しているテキストだ。
テキストの和訳が完成したとき、イングリッドさんは、「主イエスが、あなたのクラスに参加する一人一人のクリスチャンのうちに、しっかりとした基礎を築いてくださいますように」と祈りの言葉で励ましてくれた。「イングリッドさんの祈りこそが、私の祈りでもあります」と桜井さん。自身も、「主イエスが、この講座に参加する方々を助けてくださり、キリストの大きな愛と優れて豊かな恵みを知って理解し、多くの実を結び、キリストの弟子となり、栄光が父なる神に帰りますように」という祈りを抱きながら、講座の準備を進めている。
講座では、何よりも所属する教会にしっかりと根ざした信仰生活が送れるよう参加者を励ましている。また、牧師が参加し、各教会での学びに生かされているケースも増えているという。
テキストは非売品で、参加者には無料で郵送している。第4期は7月23日から11月12日まで、毎週土曜日午後9時から10時までの全16回。7月16日にオリエンテーションを行う。申し込みの締め切りは6月26日。詳細は専用ページを。