ナイジェリアで活動する過激派組織「イスラム国」(IS)系のグループが、キリスト教徒とされる男性20人を処刑する映像を公開した。
キリスト教迫害監視団体「オープンドアーズ」(英語)によると、映像はIS系のアマク通信を通じて10日に公開された。英公共放送BBCの海外メディア情報収集サービス「BBCモニタリング」によると、処刑を実行したのは、ナイジェリアを中心に活動している「イスラム国西アフリカ州」(ISWAP)。処刑された20人は同国北東部ボルノ州からつれて来られたとされる。
ISはこの処刑を「世界中のキリスト教徒」に対する警告だとし、「聖戦士たちは時代の終わりまで彼らと戦争を続けるだろう」と述べた。
映像では、男性らが3つのグループに分かれ、覆面をした4人の戦闘員に射殺される様子が映し出されている。2つ目のグループの処刑後には、戦闘員の1人が「世界中のキリスト教徒に対して兄弟の復讐(ふくしゅう)を果たすまで、われわれは休まない」と述べている。
BBCモニタリングによると、ISはこの処刑について、2月にシリアで死亡したISの元広報担当者と元リーダーに対する報復だとしている。
オープンドアーズの広報担当者(アフリカ南部担当)であるジョ・ニューハウス氏は、映像はキリスト教徒の間に恐怖を植え付けることを意図したものだと指摘。「犠牲者の家族が経験したであろう恐怖と心の傷は、言葉で言い表すことができません」と述べた。その一方で、「ISWAPはこれらの映像で恐怖を植え付けようとしていますが、私たちの知る限り、男性たちは処刑に直面しても信仰を貫き通しており、世界中のキリスト教徒は彼らの証しに畏敬の念を抱くべきです」と述べた。
ISWAPは4月には、同国北東部タラバ州の市場で死者を出す攻撃を行っている。この攻撃について、ISWAPはメッセージアプリ「テレグラム」への投稿で、「異教徒であるキリスト教徒の集まり」に対して行ったものだと述べていた。
ニューハウス氏は、ナイジェリアにおける暴力的なジハード主義グループの影響力の増大は「重大な懸念」であり、地域社会全体が「トラウマに陥り、根こそぎ奪われています」と訴える。その上で、「この映像は、これらのグループの繁栄を可能にするさらなる過激化の肥沃な土壌を作り出す複数の要因に対処するために、地域政府と国際社会による断固とした行動を求めるものです」とし、ナイジェリア政府や国際社会に必要な行動を取るよう求めた。