ゴルフの4大大会(メジャー)の一つ「マスターズ・トーナメント」で、メジャー初優勝を果たしたスコッティ・シェフラー(25、米国)が、「私がゴルフをするのは、神と、神が私の人生にしてくださったすべてのことをたたえるためです」と語った。
2カ月前まで世界ランク15位だったシェフラーは、PGAツアー(米国男子ゴルフツアー)の直近3大会で連続優勝し、瞬く間に世界ランク1位に。ツアー通算4勝、メジャー初優勝を目指して臨んだマスターズでは、第1ラウンドを3位タイとした後、第2ラウンドから首位をキープ。最終日の10日、優勝を目前にした18番ホールで4パットのダブルボギーとしてしまうが、ローリー・マキロイ(32、英国)を3打差で抑え、通算10アンダーで見事優勝を果たした。
最終ラウンドを終えたシェフラーを迎えたのは、2020年12月に結婚した同い年の妻メレディスさんだった。他にも家族の多くが勝利の瞬間を見届けようと駆け付けていた。昨年優勝した松山英樹(30、日本)からグリーンジャケットを着せられたシェフラーはスピーチ(英語)で、家族一人一人に感謝の思いを伝えつつ、「私にはこんなにも素晴らしい支援があり、とても恵まれています」とコメント。涙をこらえつつ、「彼らが生涯で私のために払ってくれた犠牲に、とても感謝しています。この瞬間を共に楽しむことができ、とてもうれしいです」と語った。
その後の記者会見(英語)では、競技をする上で必要となる競争心と普段の自分の間で、どのようにバランスを取っているのかを尋ねられ、自身の信仰について語った。
「私がゴルフをするのは、神と、神が私の人生にしてくださったすべてのことをたたえるためです。ですから、私にとってのアイデンティティーは、ゴルフのスコアにはないのです。妻のメレディスが今朝言っていたように、『今日、この大会で優勝しても、10打差で負けても、二度と大会で優勝できなくても、私はあなたを愛し続けるし、あなたは今までと同じあなたという人間であり、イエスはあなたを愛しているし、何も変わらない』のです。私がしようとしていることは、神をたたえることであり、そのために私はここにいて、この立場にいるのです」
「メレディスはいつも平安のために祈っています。なぜなら、それが私がゴルフコースで感じたいことであり、私は(ゴルフを)楽しみ、ただ神の臨在を感じたいのです。それで、それが彼女の毎日の祈りなのです。それは私の祈りでもあり、今日は本当にそのように感じました。平安だったのです」
シェフラーにとって、もう一人の心強い存在は、キャディのテッド・スコットだった。スコットは、2012年と14年にバッバ・ワトソン(43、米国)がマスターズを制した際にキャディを務めたベテラン。シェフラーは記者会見で、スコットについて「人間としても、キャディとしても、いくら褒めても足りないくらいです。私は彼を人として尊敬しています」と称賛。「彼は一緒にいてとても楽しい人であり、信仰の人であり、私は彼を愛しています。彼のことは語り尽くせません。テッドは、人に求め得る資質のほとんどを体現しています。謙遜で、勤勉で、正直者です」などと語った。
米キリスト教スポーツ誌「スポーツスペクトラム」(英語)によると、シェフラーがスコットと組むことを決めた理由の一つに、2人ともクリスチャンであることがあった。2人は、コンビを組む1年ほど前に、聖書の勉強会を通じて初めて知り合ったという。そして、昨年11月のRSMクラシックからタッグを組むようになった。
スコットは2018年、スポーツスペクトラムのポッドキャスト(英語)で自身の信仰観について次のように語っている。
「人々は多くの場合、クリスチャンになれば、神がその人のためにすべてを容易にしてくれると思いがちですが、そうではありません。しかし、この宇宙の神、創造主を味方につければ、物事はより対処しやすくなるのです。そして聖書の原則とは、それを用いるときに、自分の人生に現れてくるものなのです」