ウクライナ侵攻の余波から、レバノンに深刻な食料危機が迫っている。
世界的な穀倉地帯であるウクライナとロシアは、2カ国だけで全世界の小麦の輸出量の3割を占めている。レバノンは、主食として消費する小麦の81パーセントをウクライナから、15パーセントをロシアからの輸入に頼っている。有事によってこれらの供給が途絶えた場合、レバノンには国内生産分の4パーセントしか残らない。
かねてからの金融危機と政治不安定によって、物資不足と物価高騰がレバノンの民衆を苦しめていたため、政府は補助金を出して小麦価格を抑えていたが、供給自体が断たれるなら米などの代替品に頼らざるを得ないが、供給が確保されるのか、価格は適正に抑えられるのか、今のところ不透明だ。
ロシア・ウクライナの衝突が世界の食料情勢に与える影響は決して小さくない。速やかな停戦とともに、生活が圧迫されているレバノン国民のために祈ろう。また、「なくならない食物」である永遠の命の福音を提供しているレバノンのキリスト教会と宣教団体のために祈っていただきたい。
■ レバノンの宗教人口
イスラム 59・0%
プロテスタント 0・6%
カトリック 23・9%
正教会関係 7・3%