英キリスト教支援団体「クリスチャンエイド」はこのほど、戦闘で荒廃したウクライナに、重傷者にも対応可能な救急キットであるトラウマキット1万個を寄贈するため、100万ポンド(約1億6千万円)を寄付した。またこれとは別に、緊急に必要な医療機器、物資、消耗品などの購入のために100万ポンドを寄付した。
トラウマキットは、ウクライナ国内に人材を有する協力企業「クラウンエイジェンツ」を通じて配布されている。クリスチャンエイドによると、救急キットの配布は、ウクライナ保健省が支援の「最優先事項」として要請しているという。
クラウンエイジェンツのファーガス・ドレイク最高経営責任者(CEO)は、「人命救助に役立つ寄付をしてくださったクリスチャンエイドに大変感謝しています」とコメント。「ウクライナのチームの何人かは、今も首都キーウ(キエフ)に残っており、勇気をもって保健省に支援物資を届けています」と語った。
クラウンエイジェンツは、ウクライナ保健省と協力してキットを配布している。キーウの事務所の他、西部の中心都市リビウや隣国ポーランド、スロバキアにもサテライト事務局があり、これらを通して危機に対応しているという。
英慈善団体協力組織「災害緊急委員会」(DEC)のメンバーでもあるクリスチャンエイドはこれまでに、ウクライナへの人道支援のために2億ポンド余り(約320億円)の資金を調達している。
クリスチャンエイドのパトリック・ワットCEO代行は、「ウクライナの民間人のおぞましい苦しみを目の当たりにした英国民は、ウクライナ国内における迅速な対応を望んでいます」と述べ、「私たちは今日、具体的かつ喫緊(きっきん)のニーズに応える形でそれを実現しました」と語った。
クリスチャンエイドは、第2次世界大戦後の難民を支援する目的で、英国とアイルランドの教会が協力して1945年に設立した。今回のウクライナ危機に対しては、エキュメニカル国際支援組織「ACTアライアンス」に加盟する「ハンガリー・インターチャーチ・エイド」(HIA)、「ルーテル世界連盟」(LWF)、「スイス教会援助」(HEKS・EPER)の3団体と協力し、ウクライナ、ポーランド、ハンガリー、ルーマニアの4カ国で、難民・国内避難民に対する支援活動を行っている。