米福音派誌「クリスチャニティー・トゥデイ」は15日、元編集長のマーク・ガリ氏と元広告局長のオラトクンボ・オラウォエ氏が在職中、従業員の女性らに対し長年セクハラを行っていたとする調査記事(英語)を掲載した。女性らはセクハラを報告していたものの、10年以上にわたり具体的な措置が行われてこなかったとし、同誌の問題点も指摘。外部機関による調査結果、同誌のティモシー・ダルリンプル社長兼CEOによる声明(英語)も発表した。
記事は2万文字を超える長文で、ガリ、オラウォエ両氏によるセクハラと、報告を受けながらも適切な措置を取ってこなかった同誌の対応を詳報。元・現従業員ら20人以上に聞き取りを行い、計12件のセクハラについて証言を得たとしている。
ガリ氏から体を触られるなどのセクハラを受けたと証言した女性は8人。中には下着の中にまで手を入れられたと話す女性もいた。ガリ氏は同誌の取材に対し、「私は意識的、意図的に間違ったことはしていない」とコメント。身体的接触があったことは認めつつも、コミュニケーションの一環であり、女性らの訴えは誤解だとしている。しかし、従業員の誰に対しても恋愛感情や性的関心を抱いたことはないとしつつも、「確かに私は一線を越えてしまった」とも話している。
ガリ氏は2019年10月、30年近く勤めた同誌からの退職を発表。同年12月には、ドナルド・トランプ米大統領(当時)の罷免を求める論説を執筆したことで注目を集め、翌20年1月に発表通り退職した。この際、セクハラに関する言及は一切なかったが、記事によると、退職発表2カ月前の19年8月には、3日間立て続けに3人の女性がセクハラを告発。それまでは口頭注意のみだったが、同誌はこの時初めて、ガリ氏に対し文書による正式な警告を通達したという。
ガリ氏は退職を選ぶことで自ら同誌を離れるが、退職後の21年、米イリノイ州で開催された集会で同誌の現役女性従業員に抱き付き、背中に手を回す行為を行った。これがきっかけとなり、外部機関に調査を依頼することになったという。
同誌は、オラウォエ氏に関する証言も複数伝えているが、社内には文書による記録は残っていなかったという。しかし、オラウォエ氏は2017年、連邦特別捜査官によるおとり捜査により、10代の少女に対する児童買春容疑で逮捕され、同誌を解雇された。その後、最終的には容疑を認め、3年の禁錮刑が言い渡されている。