ノアの箱舟を実物大で再現したテーマパーク「アーク・エンカウンター(箱舟との遭遇)」や創造博物館の設計に携わったパトリック・マーシュ氏が2日、死去した。77歳だった。運営元の創造論宣教団体「アンサーズ・イン・ジェネシス(答えは創世記に)」が同日、ホームページ(英語)で発表した。マーシュ氏は2001年から亡くなるまで、同団体のアトラクション・デザイン担当副会長として、米ケンタッキー州にあるこれらの施設の建設と運営に携わってきた。
2016年にオープンした同州ウィリアムズタウンのアーク・エンカウンターは、旧約聖書の創世記に記されているノアの箱舟を実物大で再現したテーマパーク。大きさは、長さ510フィート(約150メートル)、幅85フィート(約26メートル)、高さ51フィート(約15メートル)に及ぶ。
車で1時間ほど南下した同州ピーターズバーグにある、広さ7万5千平方フィート(約7千平方メートル)の創造博物館は、アーク・エンカウンターに先立ち、2007年に開館した。来場者は、芸術作品や植物園、プラネタリウム、動物園、アドベンチャーコースなどを楽しみながら、聖書の歴史を体験することができる。
同団体の創設者であるケン・ハム氏は、マーシュ氏について「『天才』と呼んでも過言ではありません。同僚としてだけでなく、友人としても、彼がいなくなるのはとても寂しいです」と語った。
1944年にカリフォルニア州南部で生まれたマーシュ氏は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で産業デザインの学士号と環境デザインの修士号を取得。同州のデザイン事務所「サスマン・プレジャー」に就職し、同事務所がロサンゼルス五輪(1984年)で受注を得たことから、50人のデザイナーを束ねる責任者を務めた。完成100周年を記念した1986年の自由の女神の大改修工事にも参画し、フロリダ州オーランドのユニバーサル・スタジオでは、「ジョーズ」や「キングコング」などの人気アトラクションの設計も担当した。
その後1990年に拠点を日本に移し、英ファイナンシャル・タイムズ紙(英語)によると、富士急ハイランド(山梨県富士吉田市)や「ハロー・キティ・ランド」で知られるサンリオピューロランド(東京都多摩市)の設計などに携わった。
米クリスチャニティー・トゥデイ誌(英語)によると、日本で宗教的回心を経験し、妻となる日本人女性のサカエさんとも出会った。
それから数年後の2001年、創造博物館建設の計画を知ったマーシュ氏は、自身も参画できないか自らメールで問い合わせた。メールには「自分の才能を主のために使いたい」「創造博物館の建設を手伝いたい。どうか、そのために私を雇ってください」と書かれていたことを、ハム氏は2017年、創造博物館のホームページ(英語)で語っている。
葬儀や記念会の予定は、発表時点では未定とされている。