イスラエルの11歳の少女が発掘のボランティア活動中に、「聖なるエルサレム」と刻まれた約2千年前の希少な銀貨を発見した。イスラエル考古学庁(IAA)が発表した。
リール・クルトコップさんは、家族と共にエルサレムのエメクツリム国立公園で発掘ボランティアをしていた際、14グラムの銀貨を発見した。エルサレム・ポスト紙(英語)によると、考古学者らは、この銀貨がユダヤ人のローマ帝国に対する大反乱(ユダヤ戦争、紀元66~73年)に参加した祭司によって鋳造されたものだと考えている。
IAAの硬貨部門の責任者であるロバート・クロール氏はこの発見について、「これは貴重な発見です。考古学的発掘でこれまでに見つかった何千枚もの硬貨のうち、大反乱時代の銀貨は30枚ほどしかありません」とコメントし、その意義を強調した。
硬貨の片面には、杯の絵と、「イスラエル・シェケル」「第2年」という刻印があり、これは大反乱の2年目(紀元67〜68年)を意味している。もう一方の面には、古代ヘブライ文字で「聖なるエルサレム」と書かれており、専門家によると、神殿の大祭司の本拠地を意味する別の言葉も添えられているという。
ユダヤ通信(JTA、英語)によると、クルトコップさんは次のように語った。
「バケツの中に硬貨が入っているに違いないとは思いましたが、まさか自分が硬貨を見つけるとは思ってもいませんでしたし、ましてや純銀製のこんなに珍しい硬貨を見つけるとは思ってもいませんでした。バケツに入った土をふるいにかけて、中に入っていた石を取り除くと、何か丸いものが見えました。最初は何か分からなかったけど、他の石とは違う感じがしました。とても興奮しました」
クロール氏は、この硬貨は「主権のしるし」だと言う。
「もしあなたが反乱を起こすなら、最も明白な独立の象徴の一つ、すなわち(独自の)貨幣鋳造を行うでしょう。銀貨に刻まれた文字は、反乱軍の願望を明確に表現しています。当時すでに使われていなかった古代ヘブライ文字が使用されたことは、偶然ではありません。この文字を使ったことは、当時の人々がダビデとソロモンの時代、そして統一されたユダヤ人の王国時代、つまりイスラエルの人々がこの地で完全に独立していた時代を切望していたことを表しています」
タイムズ・オブ・イスラエル紙(英語)によると、考古学者のアリ・レビー氏は、銀貨が発見された通りは第二神殿時代のエルサレムの主要な通りであり、神殿に向かう何千人もの巡礼者が利用していたはずだとし、次のように述べている。
「ここで大規模な商取引が行われていたことは間違いありません。ここで発見された数多くの重りや銅貨が、それを裏付けています。それでも、純銀製の反乱軍の手による硬貨が見つかったことは、間違いなく非常に特別で、極めて興味深いことです」