カトリック信者の高校生が、他の生徒との議論で性別は2つしかないと述べたことで罰せられたとして、学校を管轄する米ニューハンプシャー州第16学区を提訴した。
訴状で「M.P.」とされているこの生徒は、同州南東部エクスターにあるエクセター高校の1年生で、性別は2つしかないと述べたことで、フットボール1試合の出場停止処分を受けたという。学区側は、人権侵害はなく、処分は同校指導部の判断だったとしている。
訴状は11月4日、同州のロッキンガム郡上位裁判所に提出された。
生徒の代理人である同州の保守派キリスト教非営利団体「コーナーストーン・アクション」(CA)は22日の声明で、今回の処分は生徒の言論の自由を侵害していると主張している。
CAによると、提訴した生徒は、トランスジェンダーではない政治的に進歩的な別の生徒と性自認をめぐる議論の中で、性別は男性と女性の2つしかないと述べた。その後、進歩的な生徒が電子メッセージのやりとりの記録を、同校のメアリー・ドブホルク副校長に提出。ドブホルク氏がそれを印刷し、生徒を問いただしたという。
この中でCAが特に非難しているのが、2016年に制定された第16学区の「例外的性自認生徒への方針」で、CAはこれが言論抑圧に使われたとして、次のように主張している。
「M.P.は生徒に嫌がらせや侮辱をしたわけではなく、緒論ある文化的問題について自分の意見を述べただけです。裁判の争点は、州内の学区で広く採用されているものとほぼ同じ内容であるエクセター高校の『例外的性自認生徒への方針』が、反対意見を持つ生徒の言論の自由抑圧のために使用されてよいのかどうかという点になるでしょう」
「被告はこの方針を用いることで、意見を表明しただけの生徒を罰しただけでなく、『they』などの『男女を明示しない』代名詞の使用を生徒たちに強いようとまでしています」
これに対し第16学区のデイビッド・ライアン学区長は、クリスチャンポストに宛てた声明で、第16学区は、すべての運動部生徒のための基準に沿うやり方で、今回のような決定を行う指導者らの教育する権利を尊重するとした。
「訴訟中であること、未成年者が関与していることなどから、現時点ではすべての事実を明らかにすることはできませんが、法的手続きの一環としてすべての事実が確認されれば、人権侵害はなかったことが明らかになると信じています。第16学区は、誰もが歓迎され、尊重され、評価され、また力づけられるような、信頼感と多様性のある、包摂的な学校コミュニティーをつくり出し、維持することに今後も尽力します」
また、ライアン氏は第16学区の「例外的性自認生徒への方針」についても擁護し、次のように述べた。
「この方針は、ニューハンプシャー州の州法の下、トランスジェンダーの生徒たちに教育の機会均等、および差別からの解放を保証するという学区の法的義務を果たすためにあるものです。生徒に規律を強いるのではなく、差別やハラスメントの是正を推奨するものです」
「指導者の判断が停学処分ではなかったこと、すべての運動部生徒は手本となって他の生徒に敬意を持つよう期待されていることに、より留意すべきです。第16学区は、エクセター高校の指導者たちが取った措置を全面的に支持します」