英国国教会のマイケル・ナジル・アリ主教(72)がこのほど、カトリック教会に転会したことを明らかにした。
転会に至った理由を説明する中でナジル・アリ主教は、「アイデンティティー政治やポリティカル・コレクトネス、英国の帝国主義的過去に対する謝罪など、流行に走っている」と、英国国教会の姿勢を批判。「忠実な者のための明確な教えがある」教会に属したいなどと述べた。
ナジル・アリ主教はパキスタン出身で、迫害から逃れて英国に移住。1994年から2009年までロチェスター教区の主教を務めた。信教の自由について積極的に発言し、結婚やセクシュアリティーなどに関する社会問題については伝統的なキリスト教の考え方を支持した。
英国国教会内の保守派の主要人物であり、保守派で構成される世界聖公会未来会議(GAFCON=ガフコン)の設立にも貢献した重鎮の一人。
今回の転会は、ローマ教皇ベネディクト16世(当時)が約10年前、英国国教会など聖公会の聖職者を迎え入れる目的で「属人教区」を創設したことから実現した。
「属人教区には使徒的、教父的、公会議的な教えを守りたいという聖公会的な願いが非常に強く反映されていると信じています」とナジル・アリ主教は述べている。
「英国国教会の霊的遺産に対する保護対策は、非常に心強いものです。典礼の踏襲、聖書研究の方式、共同体に対する牧会的コミットメント、道徳神学の在り方、その他多くの点で英国国教会の霊的遺産が多分に提供されていると信じています」
「私は英国国教会の他の豊かさも享受することを楽しみにしています。しかし同時に、より広い交わりの中で英国国教会の霊的遺産を維持し強化するために、ささやかな貢献をしたいと思っています」
「パキスタン教会、また中東全域、英国国教会、そしてアングリカン・コミュニオン(全世界聖公会)における働きは、今でも私にとって貴重なものです。今回のことは、私たちの共通の神である主とその民に対する働きが前進するステップであると考えています。どうぞお祈りください。今も私は、英国国教会全体のために祈り続けているからです」