世界120カ国以上の教会が所属する世界教会協議会(WCC、本部:ジュネーブ)は29日、これまでに375人以上の死者が出ているパレスチナ自治区ガザにおけるイスラエルとイスラム原理主義組織ハマス間の戦闘を直ちに停止するよう求める声明を発表した。
WCCは、パレスチナ側を擁護する立場を示し、イスラエル軍によるガザ地区への攻撃を非難。各国政府に対しては、イスラエル、パレスチナの両地で危険にさらされている人々を保護するよう求めた。
WCCのサムエル・コビア総幹事は声明で、「ここ3日間の死と恐怖は非常に恐ろしいものであり、恥ずべきものだ。またこれらは死と恐怖のほか何も生み出さない」と今回の事態を激しく非難した。
27日から始まったイスラエルによるガザへの空爆は3日間連続で続き、パレスチナの救急当局者によれば30日までにパレスチナ側の死者は375人以上に上っている。イスラエルは今月19日にハマスと結んだ半年間の停戦合意が失効し、その後ハマスのロケット弾攻撃が激化したことを今回の空爆の理由として挙げている。
米政府は29日、ハマスに対してイスラエルに対する攻撃停止と長期間の停戦を受け入れるよう要求。空爆については「イスラエルの自己防衛に必要な行動と理解している」とし、ガザへの空爆を支持する意向を示している。一方、空爆に対する中東のイスラム諸国の反発は激しく、イランの最高指導者であるハメネイ師は28日、国営テレビを通じてイスラエルはイスラム諸国によって罰せられなければならないとする声明を発表。イスラム諸国にガザの民衆を守るよう呼びかけた。
今回の空爆について、イスラエル側は、断続的なロケット弾の脅威がなくなるまで続行するとしており、イスラエル軍の報道官は「(空爆は)何日にもわたって行う(可能性がある)」(ロイター通信)と述べている。一方、ハマス側も自爆攻撃を含むあらゆる手段を用いると対抗する姿勢を崩しておらず、事態の長期化が懸念されている。