日本カトリック正義と平和協議会の「死刑廃止を求める部会」(部会長:竹内修一・イエズス会司祭)は11日、世界死刑廃止デー(10月10日)に当たり、岸田内閣で法相に就任した古川禎久(よしひさ)氏に対し、死刑執行の停止を求める声明を発表した。
声明は、「私たちが、はたして、一人のいのちの存否について、その裁きの規範・基準になれるでしょうか。私たちのいのちは、確かに、儚(はかな)い。しかし、同時にまた、尊厳も持っています」と指摘。「死刑は、このいのちの尊厳に反するものであり、それゆえ、その廃止を訴える――これが、現代のカトリック教会の見解です」と述べ、カトリック教会の立場を説明している。
カトリック教会では、ローマ教皇フランシスコが2018年、教理をまとめた『カトリック教会のカテキズム』の死刑に関する項目の改定を承認。これまで死刑は、制限されるべきものだが「皆無ではないにしても、非常にまれ」とされていたが、「人間の不可侵性と尊厳への攻撃」だとし、全面的に反対する内容に変更された。声明はこうした動きに言及しつつ、死刑廃止はカトリック教会だけでなく、「持続可能な開発目標」(SDGs)に取り組む国際社会の要請でもあると訴えている。
古川氏が法務省初登庁後の記者会見で、「死刑を廃止することは適当ではない」と発言したことに対しては、アントニオ・グテーレス国連事務総長が「死刑は21世紀にふさわしくない」と語ったことを取り上げ、「死刑廃止は、いまだ適当ではないどころか、遅すぎるくらい」と批判。しかし、「今からでも遅くはありません。実際、わが国では、2019年12月26日を最後に、死刑執行はなされていません」と述べ、古川氏が在任期間中に死刑を執行しないよう求めている。