日本バプテスト連盟の総会検討委員会がこのほど、「総会改革に関する最終答申」を発表した。最終答申は、「e投票」や業務系アプリケーションの導入、加盟教会・教会員に直接情報共有するメーリングリストの導入など、情報通信技術(ICT)の活用が総会改革の前提となるとし、理事会に対し、連盟事務所と加盟教会のICT化推進を強く要望。また、総会改革は規約、関連規定の改定・整備と一体にあるとし、連盟検討委員会においてもその実務に早急に着手するよう求めた。
総会検討委員会はこれまで、アンケートの実施と公開検討委員会の開催をそれぞれ4回にわたり重ねてきた。最終答申における総会改革案は、ICTの全面的な活用を前提としているものの、ICTの利用が困難な人のために例外的に紙の資料やFAX、議長席のある会場への自主参加なども可能としている。
総会の開催方法はオンライン方式とし、具体的には、議長席を設けた会場と各個教会をオンラインで接続し、「e投票」やインターネット会議システム「Zoom(ズーム)」などを用いて議事進行や協議に参加し、議決権を行使する例を挙げている。議長席を設ける会場は、インターネット回線を複線化することで通信障害を回避し、理事会が自主会場設置のための費用援助や必要な人材派遣を行うことなども提案している。
議案書は電磁的送付やダウンロードによって配布する。原則的には紙に印刷しないが、希望する教会には連盟事務所の負担を増大させない範囲で対応可能とする。ただし、部数制限や費用負担は検討を要するとした。また、総会の録画を加盟教会に公開することも検討事項として盛り込んだ。
議事進行においては、「e投票」による出欠連絡などを用いることで、定足数の確認もオンライン方式で行う。議場における質問や意見は、オンラインフォームやZoomによる発言によって受け付ける。なお、当面はFAXによる質疑も受け付けるが、担当者の負担を軽減するためオンライン方式に一本化していくことが望ましいとしている。
オンラインフォームからの発言はいつでもできるようにし、総会役員が適宣判断して代読もしくは指名して発言を許可。連盟の規定やガイドラインにそぐわないものでなければ総会ウェブサイトや議事録で公開する。時間短縮のため動議の議案化と議題とされた動議の採決は、オンライン投票で過半数に達する場合、FAXなどによる投票を待たずに採決を確定させる。
議決権に関しては、代議員制度を廃止し、加盟教会単位で行使する。その上で、加盟教会はオンラインまたは書面で総会期前に議決権を行使することを可能とし、採決はオンライン方式を実現するために挙手ではなく投票とする。
最終答申は、総会に加え選挙制度の改革に関しても答申しており、理事選挙において、男性と教役者の当選者数を制限するクオータ制の導入を提案している。具体的には、理事当選者10人の内訳を、得票数にかかわらず、男性6人以下かつ教役者6人以下かつ男性教役者4人以下となるよう調整する案を提示。一方、男性以外の人数と信徒の人数は制限せず、理事10人全員が信徒ということもあり得るとしている。
最終答申によると、連盟の理事は過去10年ほど、男性教役者が約7割を占めている。クオータ制は男性教役者の数的偏りを解消することが目的で、偏りが解消され、クオータ制が不要と判断された場合は廃止し、効果検証のため理事会が経過観察する。
この他、「財務理事」の新設も提案。財務理事は常務理事とともに理事会が推薦し、信任投票を行う。両理事にはクオータ制は適用されないが、男性に偏らないようにすることを理事会の努力義務とする。
これらの改革案に基づく総会は2023年度から、選挙制度は22年度から実施し、いずれも29年度に理事会を中心に評価を行い、必要な場合は総会に修正案を提案するとしている。