教会を狙った放火事件が相次ぐカナダで、被害教会の一つである西部ブリティッシュコロンビア州の正教会が、被害から数週間で数十万ドルの寄付金を集めた。カナダでは5月から6月にかけ、カトリック教会がかつて政府の支援の下で運営していた同化政策のための寄宿学校で、先住民の子どもの遺骨や無縁墓が大量に発見され、その後、教会を狙った襲撃や放火が相次いで発生していた。
多くの寄付金が寄せられたのは、バンクーバーから約40キロの距離にある同州サレーの聖ジョージ・コプト正教会。同教会の広報担当者であるスティーブン・ファルタス氏はクリスチャンポストに、当時の様子を次のように語った。
「7月19日の朝、目が覚めると携帯電話に幾つもの不在着信やメールが入っていて、それはすべて教会の火災に関することでした。現場に駆け付けると、教会はまだ炎に包まれており、消防隊員が燃え残っている最後のエリアで消火活動を行っていました。通りを封鎖して、4、5台の消防車で水をかけながら消火活動をしていましたが、被害は明らかでした」
同教会はその後、サレー市内にあるダマスコの聖ヨセフ・アンティオキア正教会で礼拝を行っているが、約200人の子どもたちが参加する日曜学校を行うのに十分な施設を探している。
「築約70年になるこの建物は、単なる建物以上のものでした」。ファルタス氏は教会の再建キャンペーンでこう述べている。「私たちの教会には、コプト正教会の信徒だけでなく、エリトリアやエチオピア、イラク、レバノンなどからの多様な正教会の信徒が集まっていました」
「私たちに手を差し伸べ、礼拝が継続できるように自分たちの教会を一時的な場所として提供してくださった人々に感謝する一方、私たちは、私たちの主イエス・キリストが『廃墟を復興して昔の日のように建て直す』(アモス9:11)という信念を強く持っています」
ファルタス氏によると、火災発生から数週間で、再建のために70万ドル(約7680万円)以上の寄付金が寄せられた。ファルタス氏は、この金額を「大きな祝福」と表現する一方、「以前の状態に再建するために必要な数百万ドルには、まだとても及びません」と話す。
「建物は非常に古いものでしたが、かなり大きく、ほぼ毎晩行われるさまざまな定期的な礼拝に参加する400人を超える人々のために場所を提供してきました。保険には加入していますが、建物の老朽化や価値を考えると、補償される金額は再建にかかる費用よりもはるかに少なくなります。そこで、再建のために寄付できるすべての人々に呼び掛けています。ぜひともよろしくお願いします」
ファルタス氏は、聖ジョージ・コプト正教会が先住民同化政策のための寄宿学校プログラムに関与したことはないとし、「もし、何年も前に寄宿学校で行われたことの報復として、教会が放火されたのだとしたら、これはとてつもない悲劇になるでしょう」と語った。
ファルタス氏は、数日前にも教会を狙った放火未遂事件があったとし、「カナダでは今、安全に礼拝を行う場所がありません」と付け加えた。
「礼拝所は現在、全国的に攻撃を受けており、政治的解決がなされるまで攻撃を受け続けるでしょう。私たちはカナダ政府に対し、礼拝所と信者の安全を確保するために必要な資金と労力を投入し、再建プロセスを支援するよう求めます」