イエス・キリストの誕生は次のようであった。その母マリヤはヨセフの妻と決まっていたが、ふたりがまだいっしょにならないうちに、聖霊によって身重になったことがわかった。・・・ヨセフは眠りからさめ、主の使いに命じられたとおりにして、その妻を迎え入れ、そして、子どもが生まれるまで彼女を知ることがなく、その子どもの名をイエスとつけた。(マタイ1章18節〜25節)
この2008年を表す漢字に「変」が選ばれました。
年末になって、悪いニュースが世界中に連鎖反応的に広がっています。しかしその中でも、私たちは良いものや喜びの震源地でありたいと思います。
今日開いた聖書の箇所は、皆さんおなじみのイエス聖誕の経緯ですが、そこにある事実をちゃんと確認しておきたいのです。
最近でこそ、男女の間での性的な関わり方が非常に乱れていますが、今から2千年前の時代に起こった事実としては、婚約している女性が身ごもるというのは大変な事態です。道徳も夫婦のあり方も厳しく、旧約聖書の掟を忠実に守り、非常に厳格な時代に、それは許されないことでした。ここには描かれていませんが、ヨセフとマリヤの間には厳しい会話や、何日も眠れぬ夜が続いたことでしょう。
しかしその時、そのヨセフの夢の中に主の使いが現われて神からのお言葉を伝えます。そしてヨセフは、御使いの言われた通り、マリヤを迎え入れ、イエス・キリストが生まれたのです。
このヨセフの態度から、私たちも現状を突き抜けて神と共に歩む信仰生活の極意を身につけましょう。
1.主の恵みは一切の個人的な事情を超える
マリヤのお腹が大きくなっていく。もう考えられない大問題です。今なら二人はきっと落ち込んで悩んで鬱になって引きこもり、毎日涙を流していたでしょう。でも、神が二人に与えようとした恵みは、それを超えるものだったのです。
御使いは語りました。マリヤは神の霊により特別な命を身ごもり、男の子を生む。その子にイエス、すなわち「神は救いたもう」という名前をつけなければいけない。
私たちには皆それぞれ事情があり、人間関係や経済の問題や病気など、考え始めると逃げ出したくなり、眠れぬ夜が続くような、時には死にたくなるような悩みがあります。
でも、神があなたに用意されている恵みは、そういう一切の個人的な事情の上を行くものです。その世界に神はあなたを導いておられます。
イエスは私たちと出会って下さる時に、私たちの個人的な全ての事情を超えるお約束をお持ちです。
2.神のお言葉通りに実行してみる
ヨセフは夢から覚めたとき、それを夢か幻で終わらせるのではなく、御使いの語られた通りにしたのでした。
私たちはこれが救い主イエスの誕生であることを知っているから、のんきでいられるのです。しかし、ヨセフもマリヤも何が起こるのか知らなかったのです。それでも、ヨセフは命じられた通りにマリヤを迎え入れたのでした。人間的な事情や悲しみ、戸惑いや辛さは変わりません。でも彼は、お言葉の通りに行動してみました。
主の恵みを頂くためには、与えられたお言葉の通りに行動してみることです。
今の世の中で、悩みのない人というのは、存在しないと感じています。ひとりひとりの人生の中に、様々な諸事情があります。でも、その諸事情を超える神のお言葉とご計画があるのです。そしてあなたがそれを受け止めてひとつひとつ行動に移すならば、あなたの諸事情や様々な悩み悲しみを超えるところに、神の御業が起こり始めて素晴らしい奇跡が起こります。
あなたの問題を、後生大事に抱え込むのはやめましょう。それはあなたにとって大問題でしょう。しかしその中で、涙を流しながら悩んでいるだけではなく、神のご計画の中に委ねてしまいませんか。そして、あなたの心の中に響く神のお言葉に従って行動しようではありませんか。
クリスマスの物語はあなたの物語です。あなたの抱えているその悲しみやため息の中に救い主がお生まれ下さるのです。あなたの抱えているものを超える世界があること、そしてそれを打ち破るためには、神のお言葉に従って行動してみることだということを教えているのです。
イエスを受け入れる者には、悲しみやため息の物語はそれだけで終わることは決してありません。クリスマスの物語は、奇跡の物語です。不可能と思える現状に、救い主の御業が現わされて、私たちは神が共におられる人生を歩んでいくことができます。だから私たちは、奇跡的なことさえ祈ることができるのです。私たちの個人的な事情を超える神が共におられるから、私たちの人生は素晴らしい。私たちには、開放と恵みと力が与えられるのです。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。