ナイジェリア中部カドゥナ州で5日、武装集団がキリスト教の寄宿学校を襲撃し、生徒ら少なくとも140人を拉致する事件が発生した。キリスト教人権監視団体「リリース・インターナショナル」は、事件を防げなかったナイジェリア政府の責任を追及するとともに、国際社会に行動を呼び掛けている。
銃で武装した男らは5日午前2時ごろ、同州にある寄宿制のベテル・バプテスト高校を襲撃した。男らは、イスラム教徒が主体の遊牧民フラニ族とみられ、警備員を振り切って学校に侵入したという。この学校には約180人の生徒が在籍しており、その大半が拉致された。
リリース・インターナショナルのポール・ロビンソン最高責任者(CEO)は事件を受け、「ナイジェリア政府がキリスト教徒の市民を守ることができていないことを意味しています」とコメント。「拉致された子どもたちとそのご両親のために、私たちは心を寄せて祈っています。神は彼らがどのような状況にあるかをご存じです」と述べた。
キリスト教徒に対するフラニ族の暴力を、農耕民と遊牧民の対立とする見方もあるが、ロビンソン氏は、それは「あまりにも単純化し過ぎている」と言う。
ロビンソン氏はまた、ナイジェリア北部ではキリスト教徒がイスラム過激派組織から度重なる攻撃を受けているとし、ナイジェリア政府がキリスト教徒の保護のために効果的な行動を取るよう、国際社会が働き掛けるべきだと言う。ナイジェリアのキリスト教徒は、過激化したフラニ族に加え、ボコ・ハラムや「イスラム国西アフリカ州」(ISWAP)などのイスラム過激派組織からも攻撃を受けている。
「ナイジェリアの北部と中部のキリスト教徒を攻撃することで、フラニ族の過激派は、これらのイスラム教のテログループと同じジハード主義のアジェンダに奉仕しているのです」とロビンソン氏。「ナイジェリア政府は、攻撃を受けているキリスト教徒の市民を守るために十分な努力をしていません。国際社会がナイジェリア政府に圧力をかけなければなりません」と強調する。
「ボコ・ハラムは公然とキリスト教徒の殺害を呼び掛け、ナイジェリア全体のイスラム化を目指していることを表明しています。フラニ族の武装勢力は、ボコ・ハラムの戦闘員よりも多くのキリスト教徒を殺害しています。このようにして、彼らは同じイスラム主義のアジェンダに奉仕しているように見えるのです」
「これはあまりにも長い間続いています。あと何人の罪なき男性、女性、子どもたちが苦しめば、何かが起こるのでしょうか。世界は、アフリカで最も人口の多い国で起きていることに目を覚まさなければなりません」