ベストセラー作家のリック・ウォレン牧師が率いる米メガチャーチ「サドルバック教会」(カリフォルニア州)が先月、女性3人に按手(あんしゅ)礼を授け牧師に任命したことを受け、同教会が加盟する南部バプテスト連盟(SBC)の専門委員会が、同教会の加盟資格を審議することになった。
テネシー州ナッシュビルで先週開催されたSBCの年次総会では、サドルバック教会との友好的な協力関係を断つべきかどうかを問う動議が、資格審査委員会に付託された。同委は、加盟教会がSBCの信仰と実践の基準を満たしているかどうかを評価するSBCの専門委。動議は、フェローシップ・バプテスト教会(ルイジアナ州)のシャド・ティブス牧師が出した。
サドルバック教会は5月初め、女性3人に「歴史的な」按手礼を授け牧師に任命したことをフェイスブック上で発表した。教義上、女性牧師を認めていないSBCの指導者らからは批判され、女性牧師を支持する人々からは称賛を受けた。
今総会で新議長に選出されたエド・リットン牧師(リデンプション教会、アラバマ州)は記者会見で、女性に按手礼を授けた教会をSBCから除名すべきかどうかを尋ねる質問を受けた。この質問に対し、男女にはそれぞれ別の相補的な役割と責任があるとする「相補主義」の立場に立つリットン牧師は、「それはわれわれが解決しなければならないことだ」と答えた。
SBCでは近年、性別に関する聖書の記述、特に女性が特定の役職に就くことや教会で説教することをめぐって、教団内で緊張した議論が行われている。今年3月には、人気の女性聖書教師であったベス・ムーア氏がSBCからの離脱を発表し、この問題をめぐる最も顕著な分裂を示す例となった。
SBCは「バプテスト・フェイス&メッセージ2000」(英語)で、牧師職は「聖書によって資格を与えられた男性に限られる」と明記している。
相補主義の支持者らは、テモテへの手紙一2章9〜15節を参照することがよくある。使徒パウロはそこで、女性が男性に対して教えたり権威を行使したりすることを認めないと述べている。
一方、役割や責任においても男女を同等に扱う「対等主義」の支持者らは、該当聖句はエフェソの教会における特定の問題に対するものであり、恒久的、普遍的な制限ではないと主張する。その上でこの箇所は「私は今、女性が教えることを許さない」と訳すのが正しいとしている。
SBCはこれまで、このような理由で加盟教会との関係を絶ったことはまだない。しかし、幾つかの地方組織や州組織ではこのような措置が取られたことがある。
サドルバック教会は5月初め、リズ・パファーさん、シンシア・ペティーさん、ケイティ・エドワーズさんの女性3人に按手礼を授け、40年以上の歴史がある同教会で初めて女性牧師が誕生した。
しかしその後、当時議長だったジェームズ・デビッド・グリアー牧師(サミット教会、ノースカロライナ州)をはじめSBCの指導者らは、サドルバック教会を批判。グリアー牧師はブログ(英語)で、その働きと世界中に福音を伝えようとするスピリットは尊敬するとしつつも、女性が牧師職に就くことには同意できないとし、この動きを「失望」だとした。