全米最大の長老派教団であるアメリカ合衆国長老教会(PCUSA)の総会事務局は5月24日、2020年の年次統計などをまとめた第224回総会議事録を発表し、昨年1年間で5万6千人余りの会員を失った上、100以上の教会が閉鎖されたことを明らかにした。
総会議事録の第2編A「統計」(英語)の第4部「統計概要」によると、2020年の会員数は124万5354人で、19年の130万2043人から5万6689人減少した。このデータは、会員総数の90%に相当する82%の教会から得られた報告に基づいている。教会数も、19年は9041教会だったが、20年には8925教会となり、116教会の減少となった。
20年は新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウン(都市封鎖)があらゆる教団に悪影響を及ぼしたとみられるが、それでもPCUSAは、会員数が約5万人減少し、120教会が閉鎖した19年と大差はなかった。
会員数や教会数の大幅な減少はPCUSAだけでなく、他のプロテスタント主要教団においてもここ数年続いている。米国では近年、キリスト教徒が減少し無宗教者が増加しているが、PCUSAなどの主要教団における会員数減少はその傾向を反映したものとなっている。
一方、教勢低下の別の要因として、PCUSAにおいては神学的な方向性が考えられる。同性愛の聖職者を容認したことで、PCUSAは近年、一部の教会が反発し教団を離脱している。
総会議事録は今回、PCUSA史上初めてデジタル形式のみで公開された。
PCUSA総会書記のJ・ハーバート・ネルソン2世牧師は声明(英語)で、デジタル化は同教団の収入減少に対する対応の一環だと述べている。
「1つには、総会議事録を2千部作成するのに約2万5千ドル(約275万円)かかるためです。2つ目は、教団全体の状況が変化するにつれ、(総会議事録の)数値が急速に古くなってしまうことです」
「この1年間、度々申し上げてきたとおり、教団を21世紀にふさわしい方向にシフトする必要があります。しかし、経済的な理由から、一人当たりのお金の使い方をよりスマートに決定することも求められています。長老教会の指導者たちが必要とする情報をリアルタイムでお届けすることにより、より効率的でタイムリーなものになると考えています」
またPCUSAは、財政難と会員数の減少を理由に、2年ごとに行われる総会の規模縮小を検討していることを明らかにしている。
ネルソン氏は昨年8月、総会の規模縮小は会員数と献金収入が減少していることによるもので、「大天幕型の総会」を終わらせることを目的としていると述べている。
ネルソン氏は、「基本的にこの状況は、一人当たりの収入が減少し、教団内の会員減少に伴いシステム全体が疲弊していることによるものです」と説明した上で、「問題には対処していますが、今の私たちはこれまでのようなことをする余裕のある教団ではないということです」と語っていた。