ナイジェリアの人権団体「インターソサエティー」は11日、2021年1~4月の4カ月間に、同国のキリスト教徒約1470人がイスラム教徒のジハード主義者によって殺害されたと発表した。さらにこの間、同国では推定で約3200人が拉致されており、このうち少なくとも約2200人がキリスト教徒とみられるという。
発表(英語)によると、最も多くの犠牲者が出たのは同国北部のカドゥナ州で約300人が殺害され、ベヌエ州では約200人、プラトー州では約90人が殺害された。
殺害の半数以上は、過激化したイスラム教徒主体の遊牧民「フラニ族」によるものとされている。一方、キリスト教徒に対する暴力が単に天然資源をめぐる争いによるものだという一般的な主張には反論し、次のように述べている。
「ナイジェリア政府や州政府は、ナイジェリアで行われているキリスト教徒の大虐殺を、『遊牧民と農民の衝突』『盗賊による襲撃』『イスラム教徒とキリスト教徒間で起きた殺害』などと偽って何度も意図的に隠蔽(いんぺい)しようとしてきた」
カドゥナ州では、他のどの州よりも多い約800件の拉致事件が発生しており、ナイジャ州でも約300件の拉致事件があった。拉致された人々の中には、農民や旅行者、農村地域に住む人々が含まれている。拉致されたキリスト教徒のうち、少なくとも220人が、死亡したか実行犯に殺害されたと考えられている。
インターソサエティーはこの他、北部カツィナ州では「未成年のキリスト教徒の少女がイスラム教徒の男性と強制的に結婚させられ、イスラム教に改宗させられている」と報告している。
この調査結果は、国内外のメディア、政府、国際人権団体、目撃者からの報告に基づいたもので、現在のナイジェリアの状況について次のように述べている。
「ナイジェリアは、『最もキリスト教徒が殺害されている国』『キリスト教徒であることが最も危険な場所』であると同時に、『アフリカで最も新しいイスラム聖戦と宗教的不寛容の温床』であることに変わりありません」
ナイジェリアのキリスト教徒に対する迫害は以前から警告されていた。
米国際宗教自由委員会(USCIRF)は最新の報告書で、ナイジェリアの状況は「キリスト教徒の大量虐殺に容赦なく向かっている」と警告している。
キリスト教迫害監視団体「オープンドアーズ」のサブサハラ担当上級アナリストのイリア・ドゥジャディ氏は、ナイジェリア全土のキリスト教徒が攻撃や拉致の恐怖の中で生活していると語っている。
「ナイジェリアでは人々はもはや安全でありません。ナイジェリア国内を旅するということは、自分の命を危険にさらすことです。ナイジェリア中の人々が、拉致や攻撃を恐れながら旅行しています。拉致されるのではないか、襲われるのではないかと心配しながら眠りに就きます。教会へも拉致されたり襲われたりするのではないかと心配しながら行っています」