賀川豊彦が、神戸のスラム街でキリスト教伝道と救貧活動を始めてから、来年で100年を迎える。神戸にゆかりのある明治以降の文学者を紹介する神戸文学館(神戸市灘区)では、賀川の代表作でベストセラー小説「死線を越えて」の手書き原稿などを展示する企画展が開催されている。
この企画展は、同館と賀川豊彦献身100年記念事業神戸プロジェクト実行委員会が主催するもの。賀川の思いを後世に伝える働きの一環として実施されている。
会場には、「壁の声きく時」「太陽を射るもの」「再生」などの原稿のほか、幼い貰い子への愛情が綴られた詩集「涙の二等分」に寄せられた与謝野晶子の序文、新聞連載小説「空中征服」に添えた自筆の挿絵など約100点が展示されている。賀川が考案した子ども向け教材などもあり、貧しい生活者や小さな子どもに愛を注いだ賀川の博愛の精神が読み取れる。
入館無料。期間は来年2月24日まで。休館は毎週水曜日(休日の場合は翌日)と12月28日から1月4日。