東京神学大学(東京都三鷹市)は15日、同大が債券運用に関する損失を会計書類に明記していなかったとし、元教授の牧師らが文科相に申し出を行ったことについて、事情を説明する文書を公式サイトに掲載した。文書は、債券売却により基本金に額面上9千万円の減少が生じたのは事実だが、あくまで「差額」であり「損失」ではないと説明。基金の取り崩しとも関連しておらず、元教授らの訴えは事実誤認だとし、公認会計士からも適正と評価を受けているとした。
文書によると、同大は2017年、売買目的ではなく利息収入を目的に、保持していた6億円分の債権を、証券会社の勧めに応じてより利率の高い同額の債権に買い換えた。買い換え後は毎年1830万円の利息を得ているという。買い換えの際、保持していた6億円の債権を5億1千万円で売却し、これと同時に6億円分のより利率の高い債権を5億1千万円で購入。買い換え前後で同大の保有する債権の額面は変わっておらず、等価交換をしたことになるという。
このため同大は、買い換え時に生じた9千万円の額面上の減少を、損失ではなく処分差額として会計書類に記載した。一方、この処分差額9千万円が発生したため、基本金に別の資金から繰り入れる必要が生じ、流動資産から4千万円、減価償却引当特定資産から5千万円を振り替えたが、これらは償還時に額面通りの額が戻れば相殺されるという。
また、同大の公認会計士は、この取引がデリバティブ(金融派生商品)取引には該当しないとし、会計書類は適正と評価していると説明。その上で、予算・決算の執行は理事会・評議員会の承認のもとで行っていると付け加えた。
この取引が行われた当時の学長は、19年9月に死去した大住雄一氏だった。現在の学長である芳賀力氏は、「皆様からの尊いおささげものが神学教育に生かされますように、細心の注意を払いつつ、伝道者の養成に当たってまいりたい所存です。今後ともご支援のほど、よろしくお願いいたします」と述べている。