米テネシー州の刑務所で牧師11人と11組のワーシップチームによる特別礼拝が行われ、受刑者114人がキリストと共に歩む決心をし、このうち48人が洗礼を受けた。
米南部バプテスト連盟のニュースサイト「バプテスト・プレス」(英語)によると、多くの決心者が出たのは同州のギブソン郡矯正施設(刑務所)。この刑務所では長年、毎週日曜日朝に礼拝が行われていたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で礼拝は昨年春から中止されていた。
しかし、感染が終息し始めてきたことから、ギブソン郡保安官のポール・トーマス氏の提案で、イースター(復活祭)翌日の今月5日に「アフター・イースター礼拝」が行われることになった。礼拝は刑務所内の11の部屋に分かれて行われ、11人の牧師と11組のワーシップチームがそれぞれの部屋に分かれて賛美をささげ、メッセージを伝えた。バプテスト・プレスは、「イースター後の月曜日夜、ギブソン刑務所は数時間にわたり、昔のテントリバイバルのような雰囲気に包まれた」と伝えている。
ギブソン郡刑務所には約300人が収容されており、礼拝への参加は義務ではなかったものの、受刑者の95パーセント近くが参加したという。
ギブソン郡保安局のフェイスブック(英語)によると、この礼拝で受刑者114人がキリストと共に歩むことを決心。19日にはギブソン郡湖で洗礼式が行われ、48人が受洗した。洗礼式の様子は地元の市民も見守り、歓声と拍手を送ったという。
トーマス氏がこの特別礼拝を思い付いたのは、イースター数週間前の日曜日、教会の礼拝に参加していたときだった。新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着き始め、人々が教会に戻り、社会が正常化しつつあることを見て、刑務所でも礼拝を再開する時期が来たのではないかと思ったという。そして、イースターが目の前に迫っていたことから、「これ以上のタイミングはない」とすぐに行動に移した。刑務所内の11の部屋で礼拝を持つことを計画し、キリスト教ラジオ番組のオーナーの手助けを得て、メッセージを伝えてくれる牧師11人を探し出した。
メッセージを伝えた一人、セーレム・バプテスト教会のジョエル・ピッグ牧師はバプテスト・プレスに、受刑者が熱心に礼拝をささげる姿を見て驚かされたとし、「彼らの反応に驚かされただけでなく、その感情的な真摯(しんし)さにも畏敬の念を覚えました。中には涙を流す人もいました」と語った。
同じくメッセージを伝えたエレベート教会のデール・デニング牧師は、メッセージ冒頭に聖書を取り出したとき、受刑者4人が席を立って自室へ戻っていったエピソードを語った。初めは「この人たちは神の言葉を聞きたくないのだ」と思ったというが、その後4人は全員、自分の聖書を持って戻ってきたという。
バプテスト・プレスによると、決心者の中には、新たに信仰を告白する受刑者もいれば、キリストへの信仰を再決心する受刑者もいた。トーマス氏は、今後もアフター・イースター礼拝を継続していく考えだという。