コロナ禍の中、米テネシー州の教会で約4カ月間に1048人がバプテスマ(洗礼)を受けるという奇跡的な出来事が起きた。教会の牧師はこの出来事の前、友人の牧師2人を自死で亡くしており、10カ月近く毎日1時間ほど神の前に静まり祈る時間を持っていた。そうした中、昨年12月に明確な神の語り掛けがあり、その後バプテスマを受ける人が大量に起こされるようになったという。
短期間に千人を超える人がバプテスマを受けたのは、同州ヘンダーソンビルにあるロングホロウ・バプテスト教会。米南部バプテスト連盟のニュースサイト「バプテスト・プレス」(英語)によると、同教会で最初の「波」が起きたのは昨年12月20日。この日だけで99人がバプテスマを受け、それ以降毎週のようにバプテスマを受ける人々が与えられ、今月13日には計1048人となり千人を超えた。このうち70~75パーセントは今回、初めて信仰告白をした人で、83パーセントは成人だという。
同教会のロビー・ギャラティー牧師は、これはすべて神によるものだと言い、この働き掛けを妨げていたのはまさに自分だったと語る。それに気付いたのは、友人のジャリッド・ウィルソン牧師とダレン・パトリック牧師を自死で亡くした後のことだった。ギャラティー牧師はバプテスト・プレスに次のように語っている。
「2人とも亡くなる前の半年の間に、ロングホロウ・バプテスト教会で説教をしてくれたのです。2人は私の家のダイニングルームのテーブルに座っていたのです。それで気付いたのです。自分は燃え尽きたとか、牧会は大変だとか、最も言わなさそうな人が大抵、燃え尽きてしまっているということに」
「主は、私が自分の人生を省みることを許してくださいました。私は疲れていました。人々を幸せにしようとすることに疲れていました。人々が(教会から)去っていかないようにすることに疲れていました。私は家のベランダに出て、この教会やこの国が抱える問題を解決してくれるよう主に祈りました。すると神は、問題が私自身であることを示してくださったのです」
それからギャラティー牧師は、活動的で負けず嫌いな自身の性格とはまったく逆のことをするようになった。毎日1時間ほどベランダに座り、主の前に静まり、祈り、神の御心は何か、耳を傾けるようになったのだという。ギャラティー牧師は、米キリスト教メディア「フェイス・ワイヤー」(英語)のインタビューに、約10カ月間そうしたと語っている。
そうする中、昨年12月15日、心の内に神からの明確な語り掛けを感じた。それは「spontaneous baptism(自発的なバプテスマ)」という言葉だった。
その前の日曜日である13日は、ギャラティー牧師が2015年に同教会に赴任してきてから礼拝参加者が最も少なかった。しかし神からの語り掛けを聞いた次の日曜日の20日、ギャラティー牧師は希望する人には誰にでもバプテスマを授けると発表した。その日は、もともと20人がバプテスマを受ける予定だった。20人の中には、元悪魔崇拝者の男性やその友人の姿もあった。しかし、ギャラティー牧師の呼び掛けに応じ、結果的には予定の5倍近い99人がバプテスマを受けることになった。
帰宅後、神の前で一人座って祈ると、このバプテスマの「大雨」は、今後押し寄せるさらなる「豪雨」の前触れにすぎないことが示されたという。
その翌週火曜日からは、バプテスマを授けるためだけの礼拝を始め、81人が集まった。さらに今年1月19日からは、対面とオンラインを合わせた祈祷礼拝に変更し、その後は毎週水曜日にこの形式の礼拝を持つようにした。この祈祷礼拝は、礼拝中にバプテスマを授ける機会を持つとともに、常に祈りがささげられる形で行われているという。受難週は午前6時から午後5時まで祈りのために教会を開放し、イースターには201人がバプテスマを受けた。
バプテスマを受けた人の多くは地元出身者だったが、20人は州外から来た人で、州の数は計15州に上った。「これは私たちの力ではどうにもならない、圧倒的な神の働きでした」とギャラティー牧師は話す。
バプテスト・プレスによると、同教会でバプテスマを受けた人は、2018年は162人、19年は222人だった。新型コロナウイルスの感染防止のため厳しい制限が課された20年は、12月半ばまでは13人だけだったが、最後の2週間で200人以上がバプテスマを受けた。
「これは正真正銘の神の働きです」。ギャラティー牧師はそう言い、「このすべての栄光は神にあります。主は、祈りがリバイバルを生み、リバイバルが祈りを生むことを教えてくださいました。まるで火の中に丸太をくべるようなものです」と語った。