米国のマイク・ペンス前副大統領が、ドナルド・トランプ前政権時代の政策を推進するために保守派の団体を設立した。
ペンス氏が設立したのは「前進するアメリカの自由」(Advancing American Freedom:AAF)と呼ばれる団体。7日の発表(英語)では、団体の目的について「伝統的な保守派の価値観を促進することで成功した過去4年間を礎とし、トランプ政権下で成功した政策を推進する」ことだとしている。またその上で、「急進的な左派と新政権が破壊的な政策により、世界で最も偉大な国家としての米国の地位を脅かそうとしているのを、保守派が黙って見過ごすことはありません」としている。
AAFは、保守的な政策提言をすることで、州および連邦政府レベルでの政策議論や問題提起を行っていくという。その中でも「国内と海外における妊娠中絶に税金が使われないようにする」「医師、看護師、教師、宗教慈善団体の良心の権利を含む信教の自由を守る」ことを目標とするとしている。
AAFの諮問委員には、ニュート・ギングリッチ元下院議長や、カトリック信者で同性婚反対で知られるリック・サントラム元上院議員、ダラス第一バプテスト教会のロバート・ジェフレス牧師、2016年の米大統領選でトランプ陣営の選対本部長を務めたケリーアン・コンウェイ氏ら、保守派の活動家や著名人らが名を連ねている。
諮問委員の一人で、全米有数の草の根プロライフ(中絶反対)団体である「スーザン・B・アンソニー・リスト」(SBAリスト)会長のマージョリー・ダネンフェルザー氏は、クリスチャンポストのインタビューに応じ、ペンス氏とそのチームとは長年の協力関係にあるとし、彼らと共にプロライフ政策の取り組みを進めてきたと語った。
「ペンス氏と彼のチームのことは何年も前から知っています。ですからこれは、私たちの友情と協力関係、また私の彼に対する深い信頼の自然な延長線上にあることです。彼が諮問委員として招待してくれたので、私は『はい』と答えました」
ダネンフェルザー氏はペンス氏について、「この組織を成り立たせている」存在であり、原則を遵守し、人々を導く能力のある人物だと高く評価し、AAFの設立はプロライフ運動における重要な瞬間だと歓迎した。
ダネンフェルザー氏は、2022年の下院選で共和党が議席を奪還するために、また特に州レベルでプロライフ関連法案を支援するために、ペンス氏が重要なファクターになり得ると考えている。
「今はプロライフ運動にとって大きなチャンスです。この時期に彼が指揮を執ることは特に重要で、連邦司法機関が完全に転換する分水嶺(れい)でもあります。そして、法案に署名する知事、法案を推進する議員、これから議員として立候補する人々には、ペンス氏のような知名度の高い、明確な主張をする人が必要なのです」
ペンス氏はトランプ政権時代の政策を土台にした方針を示しているが、一方のトランプ氏本人は最近、フロリダ州で行われた資金調達イベントでペンス氏を批判した。
10日に自身が所有するフロリダ州のリゾート「マールアラーゴ」で開催した招待制イベントで、トランプ氏は共和党の支持者らに対し、ペンス氏に「失望した」と発言。また、共和党のミッチ・マコーネル上院少数党院内総務を批判したと伝えられている。