国際的なメガチャーチ、ヒルソング教会で不祥事が相次いでいる。米テキサス州のヒルソング・ダラス教会では、牧師夫妻が献金をぜいたくな私生活のために不正使用していたとして1月で辞任。新型コロナウイルスの影響も重なり、このほど閉鎖が発表された。
英デイリー・メール紙(英語)によると、ヒルソング教会のブライアン・ヒューストン国際主任牧師と妻のボビー牧師は先週末、ダラス教会の閉鎖決定を発表した。さらに、同教会を担当していたリード・ボガード牧師と妻のジェス牧師に対する調査も開始すると述べた。
ボガード夫婦は1月、ダラス教会の運営資金を不正使用したとして告発されていた。夫妻は当時、「私たちが職を辞す時だと(感じています)。一定の時間を費やして健全さを保ち、健全になった上で自分たちの今後について見据えていきたいです」と述べていた。
しかし、ボガード牧師に対し「ヒルソング教会の指導者としての基準」が守られていないとの苦情が寄せられていたことから、牧師職を停止する処分を下していたことを、ヒューストン夫妻は教会員宛てのメールの中で明らかにした。
ダラス教会は2019年に設立されたばかりの比較的新しい教会だったが、ヒューストン夫妻は、教会につまずいて離れた信者が複数いることも認めている。
「(今回の決定に至る)プロセスの初期段階で、ボガード夫妻はヒルソング教会を辞する決意を固めていました。私たちはボガード夫妻の辞意を受け入れ、夫妻がダラス教会を立ち上げるために時間を費やしてきたことに謝意を表しました」
「皆さんの中には、ボガード夫妻が献身的な牧師だと感じていた方々もおられますが、ヒルソング教会が掲げる約束や基準を満たしていない指導者だったと感じておられた方々が多数おられることを知り、とても残念です」
「失望したり傷ついたりした方々に、まず謝罪したいと思います。また、神様が速やかに働いてくださり、平安と癒やしをもたらしてくださるよう祈ります」
ヒューストン夫妻は調査に加え、新型コロナウイルスの感染拡大が災いし、ダラス教会の活動が長期的に中断していることにも触れた。
「私たちがダラスにヒルソング教会を設立する中、パンデミックが世界中を席巻したため、ダラスで成長中の教会の形が急速に変化してしまいました。パンデミックによって増幅された多くの要因により、ヒルソング・ダラス教会のすべての活動を見合わせるという困難な決断を迫られました」
ヒルソング教会では昨年11月、ニューヨークなど米東海岸にある4つの教会を担当していたカール・レンツ牧師が、「指導者としての問題」と道徳的な過ちにより解雇され、大きな注目を集めた。ボガード夫妻はそれからわずか2カ月後にダラス教会を辞任した。
さらに、ニューヨークを拠点として活動していた女性デザイナーがレンツ牧師と数カ月にわたって不倫関係にあったことを告白。加えて、ヒルソング教会の元ボランティアや元スタッフらが、牧師やゲストのための高価な贈り物やホテルの宿泊費、食事代の支払いなどに教会の十分の一献金が使われていたと、米ニューヨーク・ポスト紙(英語)で暴露した。
「牧師たちが大金を手にしているのに、自分は無報酬の労働で搾取されるというのは私にとって理解不能です」。ヒルソング・ニューヨーク教会でボランティアをしていたジェナ・バビットさんはそう語る。バビットさんは、ボガード夫妻の下でも数カ月にわたって無報酬で働いたという。
ボガード夫妻の下でダラス教会の開拓を手伝っていた28歳のブランドン・ウォーカーさんは同紙に対し、「多くの有害な活動」を目にしたと語った。ウォーカーさんによると、時には民泊仲介サイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」を利用し、一晩1100ドル(約12万円)もする宿泊場所をゲストのために借りたこともあったとし、「(ゲストたちは)たくさん外食をしました。たくさんエアビーアンドビーを利用し、それはとても素敵な所ばかりでした」と語った。