カトリック作家として知られる遠藤周作氏の妻で、フジテレビ社長の遠藤龍之介氏の母である遠藤順子(えんどう・じゅんこ)さんが1月16日、心不全のため東京都内の病院で死去した。93歳だった。追悼ミサ・告別式は親近者で行ったという。長崎新聞などが12日に伝えた。
周作氏とは慶応義塾大学在学中に出会い、1955年に結婚。周作氏の作家活動を支え、96年に周作氏が死去した後には自身も執筆活動を開始。43年間連れ添った周作氏に対する思いをつづった『夫の宿題』や『再開』を出版した。
両書は、キリスト教最大のテーマ「復活」から「死は終わりではない」というメッセージを伝え、患者の心身の癒やしを第一にした末期医療の普及に尽力し、「日本人の心に届くキリスト像」とは何かを考えることを、周作氏から託された「宿題」と受け止め執筆したもの。
遠藤周作文学館(長崎崎市)の建設に尽力したほか、マザー・テレサが1982年に再来日したのを契機に設立された「生命尊重センター」を母体とし、困窮した妊産婦を援助する活動を行うNPO法人「円ブリオ基金センター」の理事長なども務めた。