国際ホロコースト記念日の27日、世界教会協議会(WCC)のイオアン・サウカ暫定総幹事は声明(英語)を発表し、ホロコーストは過去の出来事ではなく「常に存在する脅威」だと強調。近年増大するヘイトスピーチや他者に対する誹謗中傷に警鐘を鳴らした上で、信仰者は反ユダヤ主義とすべての増悪に反対し続けなければならないと訴えた。
サウカ氏は、ホロコーストで600万人に上るユダヤ人が殺害され、他にも第2次世界大戦中に数百万人もの人々がナチス・ドイツの犠牲になったことに言及。国際ホロコースト記念日は、「悪の極致の中で失われたすべての尊い命を記念する日」であると同時に、「他者」に対する恐怖と憎悪が大量虐殺にまで至ることを思い起こす日だと語った。
「ホロコーストは遠い歴史の中で薄れていく出来事ではなく、常に存在する脅威であることに変わりありません。ユダヤ人やアルメニア人、ルワンダ人など大量虐殺を経験した人々にとって、ホロコーストは永久に消えない現実なのです」
その上でサウカ氏は、政治や公共の言説において近年、ヘイトスピーチや他者に対する誹謗中傷がますます許容される風潮があると危惧。反ユダヤ主義やその他の集団的な増悪表現が再び現れ、それが社会や実際の人間関係にも影響を与えていると述べた。
そのため「信仰と善意のすべての人は、反ユダヤ主義とすべての増悪に抵抗し、異議を唱えるという継続的な挑戦に再び取り組まなければならない」と強調。「ホロコーストの犠牲者を追悼するに当たり、私たちはその再発を防ぐために発言し、行動することを求められている」と語った。
国際ホロコースト記念日(正式名称 「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー」)は、国連が2005年に定めた国際デー。ナチス・ドイツにより600万人に上るユダヤ人が殺害され、ロマ人やシンティ人、障がい者、同性愛者ら多数が犠牲となったことを覚え、反ユダヤ主義をはじめ、あらゆる憎悪が持つ危険性を認識するために定められた。記念日の1月27日は、ホロコーストの象徴的存在であったアウシュビッツ強制収容所が解放された日。