お茶の水クリスチャン・センター(OCC)顧問の榊原寛(さかきばら・ひろし)氏が24日、死去した。79歳だった。昨年末に神経系の難病である多系統萎縮症と診断され、闘病を続けていたという。葬儀は近親者のみで行われた。
1941年、静岡県生まれ。63年、東京聖書学院卒業。日本ホーリネス教団伊東キリスト教会、同茅ヶ崎教会、同東京仲よしキリスト教会などを牧会した。太平洋放送協会(PBA)理事長、ワールド・ビジョン・ジャパン理事長、OCC副理事長、国際開発救援財団(FIDR)副理事長などを歴任。子どもからお年寄りまで分かりやすく福音を伝える語り口が人気で、「ライフ・ライン」など、テレビやラジオのキリスト教番組のパーソナリティーを25年余り務めた。また、米サンフランシスコのテレビ番組「みえますか愛」にも13年にわたって出演した。
順天堂大学名誉教授の樋野興夫氏が全国で展開する「がん哲学外来&メディカルカフェ」では、榊原氏が代表を務める「お茶の水メディカル・カフェ」が、そのモデルとして中心的な役割を果たしてきた。著書に『あなたを生かすもの』『それでも主が共に』『しなやかな心で生きる』などがある。
10代にノイローゼとなって約5年間引きこもりの生活をする中でキリストに出会い、献身を決めた。一方、6歳の息子を交通事故で亡くす経験をしており、東日本大震災の復興支援祈祷会では、自身の経験を語りつつ、「あの亡くしたつらい思い、悲しみがあったからこそ今のいろいろな人生の苦悩に立ち向かっていくことのできる勇気がある、と言えるような時を迎えることができたときに、初めて復興や復旧という言葉が見いだせるのではないか」と、被災者に寄り添うメッセージを伝えていた。