キリスト教精神に基づき世界の子どもたちを支援している国際NGO「ワールド・ビジョン」は、新型コロナウイルスのワクチン接種が各国で始まったことを歓迎する一方、「最も脆弱(ぜいじゃく)な立場にある人々に対しても迅速なワクチン接種が保障されなければならない」と警告している。
ワールド・ビジョンはこれまでに、途上国の地域コミュニティーと協力し、エイズウイルス(HIV)やエボラ出血熱など小児疾患のまん延に対する支援活動を行ってきた。新型コロナウイルスの緊急支援では、すでに世界70カ国5400万人以上に支援を届けている。
ワールド・ビジョンのアンドリュー・モーリー総裁は、コロナワクチンの接種開始を「人々の人生を変える可能性を持った素晴らしいニュース」とする一方、ワクチンへのアクセスは「生まれた場所によって制限されるべきではありません」と指摘する。「それは人権であり、人間は平等であるべきという基本的な考えに基づくものです。したがって、最新のテクノロジーを駆使して世界の賢者が生み出した素晴らしい成果を、多くの子どもたちやコミュニティーが直面している不平等を増幅させるために使用されてはならない」と語る。
ワールド・ビジョンは、「密」を避けられない難民キャンプに暮らす人々をはじめ、衛生状態の悪いスラムの住民、ロックダウンでさらに状況が悪化した貧困層の人々など、脆弱な立場に置かれた人々への迅速なワクチン供給は不可欠だとする。また、各国の政府が、第一段階となるワクチン供給の割り当てを戦略的に行うことと、最も脆弱な人々と感染リスクの高い人々を人道的に最優先することの両方を、確実に遂行することが求められるとしている。
モーリー氏は、「この壊滅的なパンデミックを収束させる薬は、声が大きい人やお金のある人にだけ与えられるべきではありません」と語る。「新型コロナは子どもたちの生活にも大混乱をもたらし、皆いつ終わるともしれない不安にさらされています。子どもたちは、神から与えられた可能性を生かし、豊かないのちを生きるべき存在です。ワクチン接種開始というポジティブなニュースを、子どもたちが前向きに感じられるようにしなくてはなりません」と強調した。