1日当たりの国内新規感染者が3千人を超えた新型コロナウイルスの感染拡大第3波に対応し、全国各地のキリスト教大学がさまざまな対応策を打ち出している。
警戒・活動制限レベルを引き上げ
西南学院大学(福岡市)は14日、警戒レベルを5段階の「レベル2」(流行消退期)から「レベル3」(流行再発期)に引き上げるとホームページで発表した。これにより、学内施設への入館は、チャペルアワーを含む授業、図書館などを利用した学習、就職活動、許可を受けた課外活動など、大学が認める活動に関わる学生に限られるようになる。一方、授業については「レベル3」では原則遠隔となるが、福岡市内の感染状況などから総合的に判断し、12月19日までは継続するという。
聖学院大学(埼玉県上尾市)も14日、活動制限レベルを4段階の「レベル2」(制限・中)から「レベル3」(制限・高)に引き上げるとホームページで発表した。今後は、同大のガイドラインに従って、授業は原則オンラインとなり、実習・実演・実技などを指導上実施する場合のみ対面授業を行うことになる。また、同日発表の年末年始の過ごし方では、感染予防の基本的な行動を取るよう呼び掛けるとともに、感染者らへの偏見や差別は許されないとし、感染者に対する思いやりが、早めの医療機関受診や予防的行動につながるとしている。
感染防止のためあらためて注意喚起
青山学院大学(東京都渋谷区)は14日、冬季休業に関する学長メッセージを発表。三密を避け、換気、マスク着用、手指消毒、毎日の検温や健康チェックなど、新しい生活様式を実践し、感染症対策をこれまで以上に徹底するよう呼び掛けた。また、忘年会や新年会、打ち上げなど、複数人での飲食を伴う会合は感染リスクが非常に高いため行わないよう求め、ゼミやサークルなどの合宿や旅行も自粛するよう要請した。
桜美林大学(東京都町田市)は3日、第3波を踏まえた注意喚起を発表。あらためて感染予防に努めるよう呼び掛け、検温や手指消毒、手洗い、うがい、マスク着用の徹底などを求めた。一方、2021年度の授業運営などに関する発表では、オンライン、対面、混合の各形式で授業を実施可能だとし、ハード、ソフトの両面で感染防止策が進んでいる状況を説明。さらに今後はバーチャル・キャンパスを充実させ、授業に加え他の活動でもリアル・キャンパスとバーチャル・キャンパスを自由に往来できる仕組みを作っていくとしている。
金城学院大学(名古屋市)は3日の発表で、感染しない・させない自覚を持ち予防行動を取ることや、三密が生じるアルバイトは行わないことなどを要請。国内の不要不急な移動は控えるよう求め、海外渡航は禁止した。また発表の最後には、同大は「キリスト教精神のもと、人々があらゆる対立を越えて、互いに愛し合い、共に生きる世界をつくることに貢献する人材を育てることを目指している」と述べ、感染者を非難・差別・中傷することなく、隣人と共に生きる者になるように呼び掛けた。
罹患者向けの特別試験の実施も
同志社大学(京都市)は10日、新型コロナウイルス感染症に罹患するなどして2021年度の一般入試を受験できなかった受験生に対し、特別試験を実施するとホームページで発表した。また11日には、秋学期期末試験における感染症予防の注意事項も発表。試験教室では必ずマスクを着用し、試験終了後は私語を控え速やかに退出すること、教室前で滞留せず、各自で細心の注意を払って行動することなどを求めた。また同大では「新型コロナウイルス感染症拡大予防のための教室利用運用基準」を定めており、これに従って行動するよう呼び掛けている。
ルーテル学院大学(東京都三鷹市)は、2021年度前期(4~7月)に予定していた公開講座の中止を決めた。10日の発表によると、後期(9~1月)の開講に関してはその時の状況を踏まえ判断するという。また7日の発表では、在学生は図書館の利用や研究活動を除き午後12時45分以降に入構すること、総合オフィスでの事務対応は前日までに電話予約をすることなどを求めている。
学生支援のための寄付集まる
関東学院大学(横浜市)は11日の発表で、「新型コロナウイルス緊急学生奨学基金」に4700万円以上の寄付が寄せられたことを明らかにした。集まった資金は同大が行う7種類の支援のうち、「経済的困窮者への緊急奨学金(給付型)」と「オンライン授業の実施に伴う通信環境の改善への奨学支援」に活用されるという。
上智大学(東京都千代田区)は11日、5月から協力を要請していた学生への支援が、卒業生団体・個人を中心に800件以上寄せられ、11月末までに計9500万円以上が集まったとホームページで報告した。これらの資金は従来からの奨学金制度に加え、アルバイト打ち切りなどで家計が急変した学生や留学生の生活資金の新設・拡充などに充てられる。また同大など上智学院が運営する学校では、第3派に対応し秋学期はオンライン授業を主体に一部対面授業を併用する形で教育研究を進めているが、集まった資金はオンライン授業で必要となるICT環境整備などにも用いられるという。
開発途上国支援のための投資も
上智学院はこのほか、国際協力機構(JICA)が発行する「JICA新型コロナ対応ソーシャルボンド」(社会貢献債)に50億円を投資したことも発表している。14日の発表によると、投資資金はJICAが開発途上地域などで実施する有償資金協力事業のうち、保健医療システム整備や水・公衆衛生環境改善などの新型コロナウイルスを含む感染症対策支援や、新型コロナウイルスの影響を受けた開発途上国の中小企業などに対する金融支援に用いられるという。