日本国際飢餓対策機構(大阪府八尾市、JIFH)は18日までに、昨年7月から今年6月までの07年度第26期の年次報告を同機構のウェブサイト上で発表した。同報告によれば、海外・国内の支援総額は約7億9220万円で、昨年比の約16%増。海外への緊急支援も、ミャンマーのサイクロン被害や四川省大地震のほか、フィリピンへの緊急援助用食糧寄贈などで、約2350万円と昨年の約7.5倍に増加した。
堀内顕理事長は同報告の挨拶で、08年末には飢餓人口が10億人を超えるという国連食糧農業機関(FAO)の報告を挙げ、「現在の世界情勢は深刻」と危機感を提示。「本来ならば人の口に入るべき食糧が、エネルギー用に転用され、またそれをビッグビジネスとして一儲けしようとの様々な投資家の思惑・暗躍が、驚異的な食糧価格の高騰を引き起こしている」「工業先進国の便利さ、快適さを維持するためのエネルギー事情の画期的といわれる発想転換や、拝金主義が、実に飢餓と貧困に苦しむ人々をさらに窮地に陥れている」と指摘した。
地区別ではアジアが約5940万円、アフリカが約7210万円、中南米がホンジュラス共和国への医薬品寄贈があったことから大幅に増加して約5億8060万円、国内では新潟中越沖地震の援助で約166万円となった。
一方、総支援者数は9274人と昨年の14198人よりも5000人近く減少したため、会費収入、寄付金収入はともに減少したが、献品収入(物資)が約1億7000万円増加となり、収入全体では約1億円の増加となった。
堀内理事長はまた、「このような世界情勢の中で、時として私たちは自分の必要に窮々として『他者と共に生きる』ということを忘れてはいないだろうかと考えさせられる」と述べ、「『善き隣人』となって、持てるものを分かち合い、飢餓や貧困に苦しむ人々と共に生きる社会を築き、世界の飢餓問題の解決に向けて更に邁進していくという私どもの使命をしっかりとわきまえ、皆様と共に行動していくことを再確認させていただいている」と語った。
同機構では今年4月から新部門として、「人々が善い隣人になってお互いに仕え合う社会(キングダム)」の実現のために活動する「キングダム・コンソーシアム」を設置。海外支援を中心に行なってきたこれまでの活動について、「足元の日本社会における家庭や人との関係、自然界との関係などの崩壊の現実には十分に応えてきたとは言い難いものがあった」と振り返り、同報告内では先進国・発展途上国を問わずに「からだの飢餓」と「こころの飢餓」に応えていく同部門の活動紹介も行なわれた。
日本国際飢餓対策機構は、キリスト教精神に基づく非営利の民間海外協力団体(NGO)で、1981年にひとりの日本人がインドシナ難民救援から帰国したのを契機に始まった。以来、国際飢餓対策機構(FHI)のパートナーとして、国連書記官、民間諸団体と協力してアジア、アフリカ、中南米の開発途上の国々で活動している。