【フランクフルト=ENI・CJC】ドイツの教会は、ユダヤ系ドイツ人に対する1938年のナチスによる組織的攻撃70周年記念日の11月9日、当時多くのキリスト者が声を上げるという義務を怠ったと指摘した。
「1938年11月の組織的虐殺で、無防備な人々が辱められ、虐待され、殺された。礼拝の家は冒涜され、破壊された」と、プロテスタントとカトリック指導者は共同声明で語った。
「ユダヤ教会堂を燃やすというひどいイメージは私たちの記憶に焼き付いている」と、ドイツ福音教会(EKD)のウォルフガング・ユベール監督と独司教会議議長のロベルト・ツォリッシュ大司教は「11月の組織的虐殺はホロコースト(大虐殺)という、想像できない破壊と破滅の時への序曲だった。その結果をヨーロッパ、世界、特にユダヤ人コミュニティはなお耐えなければならないのだ」と述べた。「組織的虐殺は慎重に計画されただけでなく、何年にもわたる宣伝の、そして政治的な準備、公然の反ユダヤ主義扇動、法律による組織的な排除、冷酷な差別待遇、および迫害に続くものだった」と言う。
ユダヤ系ドイツ人とその財産に対するナチスによる一連の攻撃は「クリスタルナハト(水晶の夜)」とか「割られたガラスの夜」と呼ばれた。
ただユダヤ人中央評議会のシャルロッテ・クノブロッホ議長は、南ドイツ新聞(電子版)とのインタビューで「水晶の夜」という表現を避けるべきだ言う。極右の全国民主党の禁止を呼び掛けるインタビューの際に「クリスタルは何か美しいものを意味しているけれども、攻撃は組織的虐殺の一部だった」と語ったもの。
ベルリンでは、ゲオルク・ステルジンスキー枢機卿が、ユダヤ人迫害に対して示したカトリック教会の態度に遺憾の意を表明した。カトリック者の大半は黙っていた、と大司教は指摘した。
ニーダーザクセン州ブラウンシュヴァイクのルター派フリードリヒ・ウェーバー監督は、教会が、それらの声なき人のたために声を上げる務めに失敗した、と牧会書簡で語った。
各教会で読み上げられた書簡の中で、キリスト者が国家社会主義の反ユダヤ主義に共同責任があった、と認めている。ナチス時代の絶滅政策に対する態度を通して、キリスト者は「重い罪」を自身に科したと言う。
ユベール監督とツォリッシュ大司教は、人々「特にキリスト教会では、暴力には反対だが、恐怖と無力感に捕らわれた」と指摘した。またユダヤ人を支援したキリスト者の例としてベルンハルト・リヒテンベルク司祭とヘルムート・ゴルヴィツァー牧師の名を挙げたが、「2人の、さらに他のキリスト者や教会指導者の証しで、他のものの臆病なり失敗を相殺は出来ない」と述べている。