世界福音同盟(WEA)の国際理事会(IC)は29日、次期総主事兼最高責任者(CEO)に、ドイツ人神学者のトーマス・シルマッハー氏(60)を選出したと発表した。シルマッハー氏は20年以上前からWEAでさまざまな役職を務めており、現在は神学問題担当総主事補佐。十数人の候補者の中から選考委員会の推薦を受け、27日に行われたICの電話会議において全会一致で承認された。就任は来年3月1日。
シルマッハー氏は任命を受け、「私は学術的、社会政治的な働きをしていますが、それらすべてにおいて、私の信念の中心は、一人一人の個人と全世界を変えるイエス・キリストの福音の力にありました」とコメント。WEAは長年奉仕し家族のように感じているとするとともに「教会に奉仕するための最良の場」であるとし、「何百万もの信仰者の祈りに支えられていることを確信し、また先人たちの大きな肩の上に立たされていることを覚え、平安の内にあります」と語った。
IC議長で選考委員の一人でもあるグッドウィル・シャナ氏(アフリカ福音同盟会長)は、「シルマッハー氏は、WEAにとって有益だと私たちが信じている多くの経験を持っており、このような才能ある人物を任命できたことを大変うれしく思っています」と歓迎。シルマッハー氏が、大きなビジョンを持ってWEAを導くことができると強く確信していると語った。
2015年からWEAの総主事兼CEOを務めている現職のエフライム・テンデロ氏(フィリピン福音同盟前総主事)は、WEAの執行部で共に奉仕する中で、シルマッハー氏の内に「このような世界的な任務に必要とされる人格と信念、そして神からの召命と一致するカリスマ性、能力、才能を見てきました」とコメント。「主イエス・キリストの福音をすべての国に広め、神の栄光のために個人、家族、地域社会に変革をもたらすために、聖霊によって力を与えられた彼がWEAを導くことを全面的に確信しています」と語った。
トーマス・シルマッハー氏の略歴
1999年からWEAでさまざまな役職を務め、現在はWEAの神学問題担当総主事補佐。WEAでは、信教の自由委員会委員や神学委員会委員長、人権大使などを歴任。国際宗教自由研究所(IIRF)の発展やWEA宗教内・宗教間関係事務所の設立に貢献してきた。
スイス、米国、オランダの大学で神学を学び、インドでも学位を取得。さまざまな分野で複数の学位を取得しており、博士号も多数取得している。1982年から2000年まで、ドイツ西部ボン地域で複数の地方教会の牧師兼共同牧師を務め、15年にはイスラム教から改宗したクリスチャンを中心とした国際的な教会組織である「コミュニオ・メシアニカ」の大監督として按手を受けた。また、1982年から2018年まで神学教育に携わり、将来の牧師養成に尽力した。
信教の自由の擁護者として知られ、迫害下の教会に大きな関心を寄せており、20年以上前にWEAが創設した「迫害下にある教会のための国際祈祷日」(IDOP)の推進者でもある。
妻のクリスティンさんとの間に2人の子どもがおり、現在はボン在住。クリスティンさんはイスラム研究が専門で、ドイツのボン大学とベルギー・ルーバンの福音主義神学大学(ETF)で教授を務めており、WEAではイスラム問題担当委員を務めている。
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世界福音同盟(World Evangelical Alliance=WEA):1846年に設立されたプロテスタント福音派の世界組織で、134カ国の各国福音同盟、9地域の地域福音同盟のほか、150余りの諸団体が加盟。世界で6億人を超える福音派クリスチャンを代表する組織として活動している。