日本聖書協会(東京都中央区)は11月下旬、ギリシア語新約聖書の朗読機能が付いた聖書ソフト「聞いて読めるギリシア語聖書」を発売する。同ソフトは、聖書学習ソフトなどを販売する電子出版大手の米ロゴス社の電子書籍システム「ライブロニクス・デジタル・ライブラリ・システム」(英語)の主要部分を日本語化し、朗読機能をもつギリシア語新約聖書機能と、ギリシア語と日本語のインターリニア(行間に翻訳を表示する聖書)機能を加えた聖書ソフト。朗読機能がある「ギリシア語オーディオ新約聖書」の他言語化は日本語がドイツ語に次いで2番目で、これにギリシア語と日本語のインターリニア機能が付いたものでは世界初となる。
ギリシア語新約聖書の朗読者は、聖書ギリシア語研究所や聖書ギリシア語国家試験の創設者として知られるジョン・D・シュヴァント氏(ニュー・セント・アンドリューズ・カレッジ古典言語学特別研究員)。朗読中は、朗読されている聖書箇所が矢印で追跡され、カーソルを単語の上に移動すると、語句の意味が英語で、品詞などの文法事項が日本語で表示されるなどする。朗読スピードも好みに合わせて3段階で調節できる。
また今回搭載された、日本語・ギリシア語の行間翻訳機能を持つ「新共同訳‐ギリシア語インターリニア新約聖書」は、日本語の新共同訳聖書の本文に対して、対応するギリシア語の単語が個々に表示される。通常のインターリニア聖書の場合は、ギリシア語の本文に対応して各国語訳の単語が表示されるが、今回のシステムは逆になっている。そのため、通常のインターリニアに比べて、日本語聖書の背景にあるギリシア語を研究するのに非常に適した形となっている。
同ソフトは今から約3年前、世界的に電子聖書が普及する中で日本でもその流れに沿う形で計画が持ち上がった。昨年夏から具体的な作業が始められ、ギリシア語を専門とする大学院生や牧師など5、6人が共同で作業を進めた。同ソフトは通常の電子聖書としての機能以外に、ギリシア語の朗読機能が付いていることが最大の特徴である。
電子聖書であるため検索機能が非常に充実しており、用途に合わせて様々な検索ができる。一般検索、聖書検索、聖書スピード検索などの一般的な検索機能のほか、品詞や格などの文法的な機能を条件として検索できるギリシア語語形聖書検索などの機能もある。また、聖書研究用のツールとして、「聖書の語句研究」「聖句ガイド」「釈義ガイド」を用意。一つのギリシア語単語に対して新共同訳聖書内ではどのような訳例があるのか、また新約聖書の各書簡の中で、各単語がどのような頻度で使用されているのかを図式化して示してくれる。
ギリシア語新約聖書ネストレ=アーラント第27版、七十人訳ギリシア語聖書、新共同訳旧約聖書続編つき、NIV(New International Version)、TEV(Today's English Version)、欽定訳聖書(KJV)の計6の聖書が収録されており、各聖書間で対象聖句の比較も行なえる。また、度量衡換算ツールもあり、聖書内に出てくる度量衡を瞬時に計算できる。
同ソフトの製作担当者は、「専門家も満足できるし、初心者も利用しやすいソフト」と紹介。価格も2万1000円とそれほど高価ではなく、「価格に比べて高機能」「使いやすく日本語の電子聖書としてだけでも利用できる。研究者や牧師、神学生以外に信徒の方々も是非使っていただきたい」と語った。詳しくは、同協会のホームページで。
【動作環境】 OS:Microsoft Windows 98/Me/NT4.0(SP6a以上)/2000/XP/Vista、CPU:Pentium III/500MHz以上(Pentium III/1GHz以上推奨)、メモリ:192MB以上(512MB以上推奨)、ハードディスク:300MB以上の空き容量(必要な空きスペースはインストールの内容で異なる)、周辺機器:CD-ROMドライブ、画像解像度:800×600以上(1024×768以上推奨)、Microsoft Internet Exploror 6.0以上およびインターネット環境